【春の季語】恋猫

【春の季語=初春(2月)】恋猫

猫の発情期を擬人化して表現した春の季語。「恋の猫」「猫の恋」とも。

実際の猫の繁殖時期は春だけではなく、日本では3~9月が該当するが、春(3~5月)がピークとなる。なお、季節によって発情するのは、メスだけである。

初春の季語とされているが、この時期はまだ寒さが残る(=「余寒」)。人間界には「バレンタインデー」という季語もある。

なお、生まれたばかりの「子猫」もまた春の季語となる。


【恋猫(上五)】
恋猫の恋する猫で押し通す 永田耕衣
恋猫の体つめたくして帰る 鳥居三朗
恋猫や満月ははや三日月に 大木あまり
恋猫の風の匂ひを抱き上ぐる  川島葵
恋猫のもどりてまろき尾の眠り 大崎紀夫
恋猫の酒樽を飛び跳ねてゆく 高橋とも子
恋猫のをとこの膝にもどり来る 有住洋子
恋猫を前に恋猫しどろもどろ 山田真砂年
恋猫の戻つてをりし寝息かな 中西夕紀
恋猫に夜汽車の匂ひありにけり 太田うさぎ
恋猫といふ曲線の自由自在 杉山久子
恋猫のたとへばかの子のほどの恋 堀切克洋

【恋猫(中七)】
しばらくは恋猫の目となりてみむ 加藤秋邨
第三の恋猫鳴いて樹が黒し 秋元不死男
わが屋根をゆく恋猫は恋死ねや 藤田湘子
雨音を連れ恋猫のもどりけり 永瀬十梧
夢の底まで恋猫の迫つて来る 涌羅由美
階段を上る恋猫時間のやう 山岸由佳

【恋猫(下五)】

【自由律】
八ツ手の月夜もある恋猫 尾崎放哉


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】



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