季語・歳時記

【春の季語】バレンタインの日(バレンタインデー)

【春の季語=初春(2月)】バレンタインの日(バレンタインデー)

キリスト教圏の祝いで主に欧米で、毎年2月14日に行われるカップルや家族が、愛を伝えあう日とされている。もとは、ローマ皇帝の迫害下で殉教した「聖ウァレンティヌス(テルニのバレンタイン)に由来する記念日」だと、主に西方教会の広がる地域においてかつて伝えられていた。

一方、日本においては「女性が男性にチョコレートを贈る日」とされてきた。しかし、お歳暮やお中元、あるいは年賀状などの互酬的な文化が衰退しつつあるいま、「義理チョコ」は旧時代的なものとみなされつつある。

2018年に、ベルギーのチョコレート会社である「ゴディバ」が「日本は、義理チョコをやめよう。」という意見広告を出したことも、話題となった。

「バレンタイン」だけでは季語にならないという向きもあり、「の日」「デー」まで入れ込むとなれば、かなり音数の多い季語のひとつである。一方、「愛の日」とつづめて使われることもある。


【バレンタインの日(上五)】
バレンタインデー俎に貝の砂 鷹羽狩行
バレンタインの日なり山妻ピアノ弾く 景山筍吉
バレンタインデーカクテルは傘さして 黛まどか
バレンタインデー心に鍵の穴ひとつ 上田日差子
バレンタインの日に渡すはずだった。 森羽久衣
バレンタインデー父をはげます日となりぬ 小林すみれ
バレンタインデイか海驢の手パタパタ 野口る理

【バレンタインの日(中七)】
いつ渡そバレンタインのチョコレート  田畑美穂女
いつ渡そバレンタインのチョコレート 田畑美穂女
毒舌は健在バレンタインデー 古賀まり子
やけに効くバレンタインの日の辛子 三村純也 
私語多きバレンタインの日の授業 藤井啓子

【バレンタインの日(下五)】
盃を遺影にバレンタインの日 影山風子
討論は白熱バレンタインの日 河原地英武
思うてた君とちがへりバレンタイン 仁科淳
風が歯に当たるバレンタインデー 山岸由佳
図書室の脚立やバレンタインデー 神野紗希


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】



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