【夏の季語】短夜

【夏の季語=三夏(5月〜7月)】短夜

「立夏」をすぎてしばらくすれば、春の「日永」から夏の「短夜」へと心持ちがかわってゆく。

すぐに夜明けになってしまうことは「明易」ということばで言い表される。

短夜や乳ぜり泣く児を須可捨焉乎(すてつちまをか)〉(竹下しづの女)のように、いくつもの有名句がある。


【短夜(上五)】
短夜をあくせくけぶる浅間哉 一茶
短夜や夢も現も同じこと 高濱虚子
短夜や捨つると決めし本読みて 塙義子
短夜と思へば風のありにけり 今井杏太郎
短夜や柩に入るる手紙書く 増井智子
短夜と聞き短世のことかとも 伊藤伊那男
短夜を朝日新聞すでに来る 寺澤一雄
短夜や壁にペイネの恋かけて 上田日差子
短夜のジャンクフードに指汚す 宮本素子
短夜の銀色となる駐輪場 キム・チャンヒ
短夜を逃げろとテレビからなのか 竹岡佐緒理
短夜のチェコの童話に斧ひとつ 澤田和弥

【短夜(中七)】
明日のなきかに短夜を使ひけり 田畑美穂女

【短夜(下五)】
優しくやはらかき眼のかゝやき短夜の 野田別天楼

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