【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年5月分】


前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から推薦句を送っていただき、一覧として掲出するコーナーです。毎月、募集していますので、ご協力いただける俳誌・結社があれば、このページをご覧ください。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。

また、このページの掲出句から、読者の皆さんの「推しの一句」(未来の名句となるかも)を選んでご鑑賞いただく読者参加型「コンゲツノハイクを読む」、5月20日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。絶賛お待ちしてます!


コンゲツノハイク 2025年5月
(2025年4月刊行分)

今月の参加結社☞「秋草」「伊吹嶺」「海原」「火星」「かつらぎ」「樺の芽」「河」「銀漢」「澤」「秋麗」「青山」「鷹」「南風」「鳰の子」「濃美」「ふよう」「ホトトギス」「街」「雪華」


「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2025年5月号(通巻185号)>
利休忌の眉毛鋏でありにけり 山口昭男
刈られゆく羊を羊見てゐたる 松田晴貴
白椿柩うづめてくれるなら 松之元陽子
てのひらに掬ふ湖春兆す 加藤綾那
宝石をつまむてぶくろ鳥の恋 高橋真美
耳朶の熱るや種池にあぶく 中村遥
剪定の人へと白湯を運びけり 竹中健人


「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2025年4月号(通巻322号)>
鳥雲に入るや捩れる鉋屑 河原地英武
庭先の凍てし小石につまづけり 栗田やすし
十六のままの遺影やスイートピー 伊藤克江
悉く寒の水なる郡上かな 加藤剛司
背のリュックくるりと胸に初電車 溝口洋子
てのひらはお椀のかたち姫始 本庄鉄弥
嘘を吐く狐の毛皮首に巻き 鈴木貝母


「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2025年4月号(第67号)>
冬の蝶紙一枚で決まること 奥山和子
黄落期旅の手紙のように書く 川田由美子
折り目無き退職届冬ざくら 木村寛伸
絶版を刷るように星流れけり 三枝みずほ
人間になりたくはない案山子翁 すずき穂波
日記果つ一騎の白駒(はっく)駆け抜けし 董振華
レノン忌と呼び力道山刺された日 柳生正名


「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2025年4月号(通巻1023号)>
白猫の胴の流れし春の闇 山尾玉藻
あつさりと夫に靡きし風邪の神 大山文子
梟の影人の世に加はれり するきいつこ
ラジオより夫婦漫才松の内 蘭定かず子
おろがめば指を貫く初護摩火 大内鉄幹
一村を櫟いろにす冬銀河 福盛孝明
風花に腰浮かせたる巫 山田美恵子


「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2025年4月号(通巻1144号)>
感触を忘れじと踏む深雪かな 森田純一郎
赤々と消火栓ある雪間かな 平田冬か
大雪原影といふものなかりけり 村手圭子
子の発ちし淡き冬日のエアポート 荻野隆子
終刊後も活きる句会や寒牡丹 折戸一男
針に糸通すが如し去年今年 時政かね代
茶の花はいつも盛りを過ぎてをり 小島元博 


「樺の芽」(主宰=粥川青猿)【1967年創刊・北海道帯広市】
<第54巻第5号(通巻582号)>
合鍵を渡してしまった春の雪  粥川 青猿  
存在の雪に沈むや裏の店    江波戸 明
一筋の雪解見粉ふ老いの影   三浦 斗久舟
紀元節醜の御盾も卒寿超す   中島 土方
ぞろぞろと眷属なるか蕗の薹  松尾 一子
わだかまり海まで運び雪解川  疋田 英子
鱵ゆくうしろもまえも白刃かな 鎌田 文子


「河」(主宰=角川春樹)【1958年創刊・東京都新宿区】
<2025年4月号(通巻797号)>
風呂吹や茫々たりし母のこゑ   角川春樹
一月や仏に水を神に火を     梅津早苗
滅びゆく国体ありて花ふぶく   川越さくらこ
命断つ円周率は花盛り      愛知けん
田作の千の眼よ眠らうか     原桐子
転がつて止まる一錠冬深し    小川莎良
イヤホンを取りて聞く春の足音  前田礼子



銀漢(ぎんかん)」(主宰=伊藤伊那男(いなお)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2025年5月号(通巻173号)>
春めくと告げたる妻の位牌にも 伊藤伊那男
胸鰭を胸に公魚果てにけり  小野寺清人
古傷の上に生傷恋の猫  山口輝久
神の恋叶はず諏訪の寒明くる  坂下昭
慟哭のこゑ包みこむ涅槃雪  萩原陽里
如月のまだ反りてゐし壁暦  岡城ひとみ
花あれば吾にも分けよ歌心  伊藤政


「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2025年4月号(通算406号)>
ドラム缶の鐘撞く灘の阪神忌  杉浦 正夫
火切り道残る二月の三笠山  吉村 征子
陶椅子にぬくみの残る春の夕  今村美智子
寒夜更く譫言呪文の如く吐き  岡田万壽美
大漁旗なびく歳初の漕出式  三澤 福泉
帰り来て余寒の部屋に灯を点す  土屋 順子
どこか春訛楽しき長電話  植田 耕士


「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2025年4月号(通巻301号)>
常に汝は欠席投句花の夜も 小澤實
初刷やポストの下に籠を置き 鶴見澄子
跳び箱を跳ぶ練習よ布団積み 鍋山紀子
わたしの代りにと湯たんぽ贈らるる 嶋田恵一
彼岸の夫に御慶述べたり起きてまづ 野口桐花
恋かもしれぬ雨後の落葉を裏がへす 南幸佑
かつこかつこと削る鰹節春隣 兒玉猫只


「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2025年4月号(通過175号)>
エリカ咲き倫敦を指す方位盤 藤田直子
初めての写経納めて梅白し 丹治美佐子
寒稽古心眼未だ定まらず 土橋清志
春立つや戦車の轍踏みて帰す 門坂徳子
花纏ふやうに巻きつけ春ショール 原田久美子
ふぐちりの骨まで吸うて命延ぶ 小川秀行
枝垂桃今日といふ日の栞紐 藤井南帆


青山せいざん」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年4月号(通過175号)>
お隣の門の前まで雪を掻く   山崎ひさを
うぐひすや校舎の上に天文台   しなだしん
越に入る稲穂に高き雲ありぬ  井越芳子
ロンドンの土産の紅茶冬ぬくし  畠野旬子
店の灯に頬照らされて歳の市  水谷由美子
乾鮭を吊るす傍へに火伏札  山本洋子
うしろから桜吹雪に吹かれたる  入部美樹


「鷹」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2025年5月号>
春月や西も東も本願寺  小川軽舟
青竜の深く季待つ氷湖かな  有田曳白  
花種蒔く妻のかたはら耕せり  山岸文明
サイレンが霜夜の街を搔きわける   内海純子 
売る家に父の軍服寒椿   西村五子
早春や塀の下から犬の鼻   川口藍々
生きること急がぬ亀や水温む  遠藤保資


「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2025年5月号(通巻327号)>
亀鳴くと言うて認知を疑はれ 籠田幸鳴
湖底の起伏知り尽くしてや魞を挿す 渡辺花穂
本棚の本立て直す建国日 川手和枝
「眠り猫」に背伸びの兆し春めきぬ 斉藤雅はる
淡雪に鳩落雁のごとく消ゆ 田中国太郎
晴れ渡り雪解雫のボレロめく 塚本一夫
雛飾る男言葉を遣ふ子と 川畑 薫



「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2025年5月号(通巻978号)>
天の火山灰(よな)うすらに春の寒さかな 板倉ケンタ
白鳥へ近づく泥田踏み込んで 中島恵子
春寒し使はぬ部屋に本積みて 岡原美智子
火山性微動に芽吹きわたりけり 磐田 小
齧られし蕗の薹あり糞もあり 稲葉守大
春闘の端に座っておりにけり 五月ふみ
子のすこし離れて浸かる菖蒲の湯 ばんかおり


「鳰の子」(主宰=柴田多鶴子)【2011年創刊・大阪府高槻市】
<2025年4/5月号(通巻71号)>
蕉翁に臍の緒の句や母子草  柴田多鶴子
日だまりへひとかたまりの初雀  政元京治
ポータブルラジオ聞き入る阪神忌  太田健嗣
松七日過ぎ平熱の街戻る   島田由加
押し黙る子と雪を見る相談室   長野順子
元日は嫌ひと言へり嫌ひならむ   上田四路
寒苦鳥あかつき待たず事切れて   古曵伯雲


「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2025年4月号(通巻122号)>
初花や午後の日差しの待ちきれず  千々和恵美子
かりそめの世とや椿の真つ盛り  野村さち
人はみな少し幸せ名残雪  大里えつを
沈丁花帯脱ぎ捨てておく納戸  齋藤禮子
座布団に赤子寝かせて桃の昼  吉田くす子
堤焼く風の匂ひのカフェテラス  門坂悦代
絵踏みの地海はこんなに碧いのに  下田京子


「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2025年5月号(通巻1541号)>
ローマより友帰り来て若葉風 稲畑廣太郎
法螺の音に躍る炎やお山焼 笹尾清一路
空つ風背ナにペダルは漕がぬまま 松藤素子
突風の止みて少しの寂しさも 青園直美
かるた終へ不機嫌なりし妹兄かな 木村直子
寒椿頭にあてる女の子 塚原景子
一瞬を剥き出しにして滝凍る 金子奈緒美


「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年4月号>
機関車の形の帽子ふらここに    今井聖
春の蛇あらすぢ描くやうにゆく   鷲巣正徳
クロッカス戸籍汚せと占ひ師    石井千鶴
春を待つ心のなかに伊勢うどん   太田うさぎ
米櫃の底片寄せて春来る      黒岩徳将
オリオンの頰のあたりの闇が濃き  髙勢祥子
バイパスが延びて椿の山を割る   竹内宗一郎


「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2025年5月号>
蝦夷栗鼠の墨痕かけめぐる雪野 増田植歌
蒜を金星丘で潰しけり 浅井鰭次
耳の日や耳の貸し借りあやまたず 西川良子
よなぐもり一錠を足し美辞を得る 土井探花
空つぽにならない春愁の器 星伸昭
野暮用と雪のほかにはなにもなし 蛾だらけミナ
遅刻しておぼろますます濃くなりぬ 柊月子


【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年3月20日
*対象は「コンゲツノハイク」2025年3月分(このページ)です。
◆配信予定=2025年3月25日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/fgen/S51058765/

【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年3月31日
*対象は原則として2025年3月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください
◆配信予定=2025年4月5日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/

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