
前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から推薦句を送っていただき、一覧として掲出するコーナーです。毎月、募集していますので、ご協力いただける俳誌・結社があれば、このページをご覧ください。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。
また、このページの掲出句から、読者の皆さんの「推しの一句」(未来の名句となるかも)を選んでご鑑賞いただく読者参加型「コンゲツノハイクを読む」は、12月20日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。絶賛お待ちしてます!
コンゲツノハイク 2025年12月
(2025年11月刊行分)今月の参加結社☞「秋草」「伊吹嶺」「海」「海原」「火星」「かつらぎ」「銀化」「銀漢」「雲の峰」「秋麗」「青山」「鷹」「たかんな」「田」「天穹」「南風」「noi」「ふよう」「ホトトギス」「街」「むじな」

「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2025年12月号(通巻192号)>
忘恩の如く柘榴の裂けてをり 山口昭男
洋梨の鉄のごとくに冷えてをり 松田晴貴
虚子の恋立子の恋や龍の玉 舘野まひろ
吹き降りの寂光院の龍の玉 鬼頭孝幸
髪をすくやうなしづけさ葛の花 小鳥遊五月
星とんで簪は髪つらぬける 山口遼也
雨脚に奥行見ゆる子規忌かな 藤井万里
「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2025年12月号(通巻330号)>
晩秋の城ごと跨ぐ水たまり 河原地英武
下り簗逆波立てて鮎吐けり 栗田やすし
獺祭忌ハンバーガーを潰し食ぶ 大島知津
トーストの切り込み深き秋思かな 加藤剛司
捨案山子へのへのもへじ滲みをり 福谷龍彦
亡き夫の愛せし海や九月尽 山本美砂子
遺品なる蝶の標本夏館 中田和子
「海」(主宰=日下野由季)【1983年創刊・東京都世田谷区】
<2025年12月号(通巻507号)>
コスモスやパレットに溶く風のいろ 松本由美子
しつかりと目を合はす医者さはやかに 橘光江
秋の蝶秘色の風となりて消ゆ 川邊房子
淋しさの半分となる虫時雨 村上百恵
夫のこと月の兎に愚痴こぼす 飯田善子
初秋を告げて空一点の鳶 谷口哲己
秋の蚊のささやくやうに来て刺しぬ 曽我みつえ
「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2025年11月号(第73号)>
炒り蒟蒻さびしく鳴りぬ夕薄暑 和緒玲子
冷蔵庫ひらくたび会議室かな 伊藤治美
それぞれの火のかたちして慰霊の日 桂凜火
二番蚕や短編ゆつくり読み終わる 北川コト
聞こえない耳に耳鳴り慰霊の日 黒済泰子
火薬庫のしづけさ麦の波青し 小西瞬夏
熱帯夜瀬戸物の皿なまぬるき 向井麻代
「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2025年11月号(通巻1030号)>
水甕に正面あらず秋の風 山尾玉藻
送火を焚きし前髪匂ひけり 大山文子
沖合を見せ稲妻の矢つぎばや 蘭定かず子
一舟のさ揺れにひろぐ天の川 山田美恵子
新涼へ袂ひろぐる翁面 五島節子
蟬殻の転がつてゐる脱衣籠 高尾豊子
「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2025年11月号(通巻1151号)>
高々と沼島の鰡の跳ねにけり 森田純一郎
さはやかや小鬼生まるる筆の先 平田冬か
名残鱧島にひとつのめし屋なる 村手圭子
堂々と夜濯の下着は干され 伊藤美貴子
アパートに金魚が待つてゐるといふ 木村由希子
限りなき俳句の宇宙天の川 橋本正幸
昼寝子にティラノサウルストリケラトプス 西ひとみ
「銀漢」(主宰=伊藤伊那男)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2025年12月号(通巻180号)>
思ひ出を蚊遣の渦が巻き戻す 伊藤伊那男
助つ人は隣村より村祭 山田茜
襖一枚生死の狭間父看取る 武田禪次
檸檬の皮らせんを描きグラスへと 梶山かおり
頬杖の指に秋思の観世音 大田勝行
仕舞湯にかぶさつて来る虫の闇 杉阪大和
落し水音を重ねて千枚田 山田茜
「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2025年12月号(通巻327号)>
鶏頭は謎かけとして咲いてゐる 中塚健太
紺を濃く無名をとほす牽牛花 東麗子
鱲子の手間隙うすく薄く分け 十見達也
「取説」の必要な彼きぬかつぎ 古川緑波
テロップのあとの回想夜半の秋 川本利範
ひぐらしやスキャットな空古びゆく 上枝游里
成田へと車窓は葛の葉の加速 百真珠
「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2025年11月号(通算413号)>
鑑真廟へ誘ふ紙燭虫時雨 吉村 征子
天楽の聞えさうなる良夜かな 井村 啓子
蓑虫鳴くここは名に負ふ伊賦夜坂 小澤 巖
キャラメルのにほひ桂の葉の黄ばむ 酒井多加子
涼新た真民さんの自筆の詩 長岡 静子
天高し生水の郷に人数多 中川 晴美
木の洞の暗がり深き白露かな 小山 禎子
「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2025年11月号(通巻182号)>
鵙鳴くや銅剣出土の明るき地 藤田直子
武蔵野の森に風ある良夜かな 田中康雄
蜩や先に翳りし女坂 塚原涼一
掛け緒切る音の響くや千代見草 仲悦子
蜩や老にいくさの物語 池田彰
フルフェイスヘルメット取り月仰ぐ 疋田美穂
桂郎忌剃刀置きて水の音 岡敏朗
「青山」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年11月号(通号516号)>
干鮭の腹あかあかと身を揺らす しなだしん
枯れてより人の匂ひのさくらの木 井越芳子
風合ひのシルクめきたる蛇の皮 水谷由美子
節水の札下げてあり登山宿 山本洋子
芒野を焦がしてゆきぬ夕落暉 入部美樹
炉開ややはらかき日を招き入れ 坂東文子
子の担ぐ鰐の形の浮袋 ローバック恵子
「鷹」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2025年12月号>
一葉落つ生涯賃金貰ひ切り 小川軽舟
訃報相次ぐひと房の黒葡萄 喜納とし子
晩涼や客船は街置き去りに 畠梅乃
海上の如きかがやき菊花展 有澤榠樝
雨風に色抜けにけりねこじやらし 大石香代子
秋の蠅草にとまりて七色に 折勝家鴨
川なぞる月光海に出て広し 長尾たか子
「たかんな」(主宰=吉田千嘉子)【1993年創刊・青森県八戸市】
<2025年11月号(通巻395号)>
牛の眼が青く燃立つ秋の風 草野力丸
稲光とつさに眼鏡外しけり 河角京子
百歳の顔見るための帰省かな 野村英利
喜雨の夜の夢の中まで潤へり 三野宮照枝
窓開き厨にまねく虫の声 小笠龍雄
生ききつて落ちたる蝉の軽さかな 片山静子
人去りて椅子に残暑の窪みかな 工藤敦子
「橘」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2025年12月号(通巻576号)>
経堂に一字一仏蚊の名残 角達朗
猿田彦の松明が曳く秋の闇 樋口保
やはらかく人の集まる萩の風 沼尾將之
秋桜の中に駅置く縄電車 田島公樹
頭半分突つ込んで食ふ西瓜かな 今田和生
透きとほる幼の乳歯水蜜桃 鈴木清子
初秋や線香立の灰を足し 秋山みち子
「田」(主宰=水田光雄)【2003年創刊・千葉県市川市】
<2025-26年12-1月号(通巻263号)>
爽やかや空より蒼き蒙古斑 清水余人
夏蝶や虚子の山々なだらかに 仲 栄司
菊に触れ亡き人のこゑさそひだす 草子洗
なすこともなくて群れをり鱗雲 伊東慶子
光ごと摘むオリーブの実の真黒 間 恵子
夏めくやいのちの端の髪を切る 松村敏子
月夜に猫とだるまさんがころんだ 松井優子
「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2025年12月号(通巻335号)>
天高しメニューの隅に成分値 佐々木建成
小春日や順番待ちの精米所 山口美智
賢治忌や残る暑さをおろおろと 渡辺花穂
お捻りを庭に散撒く白木槿 立道すみ女
花野道チーズ工房まで二キロ 藤原基子
旧邸の桧皮打つ音秋澄めり 田嶋しゅうじ
立待やわらんべ母を待つに似て 岩倉未央
「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2025年12月号(通巻985号)>
月明や鼓動に触るるペンダント 田上美喜子
秋の潮思ひ出ばかり語りけり 野口憲子
臭木の実暗器のきらめきと思ふ 若林哲哉
秋川の見ゆる一室見舞ひけり 上田窓子
すいすいと君は緋鯉のやうに渋谷 黒井茶美子
秋の夜の影につながる椅子と椅子 笠原小百合
穴惑寺へ車の次々と 木村幸人
「noi」(代表=神野紗希・野口る理)【2025年創刊】
<2025年11月号(通巻7号)>
金貨噴く鯨や夜の美術展 藤雪陽
夏もあけぼの1チャンネルの海しづか 橘あかね
新居狭し梨にふやける紙の皿 横山航路
きのこ濡れはじめて雨よきみへ傘 坂本梨帆
戸籍には書いてないけど桃が好き 春菜
ゆびさきでこはれてしまへ桃も人も 島田砂光
アイスティーおかわりたぶん愛だった 福田春乃
「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2025年11月号(通巻129号)>
金風や古鏡に花鳥ちりばめて 千々和恵美子
一輌を送つて月の線路かな 安倍真理子
駅員に手渡す切符盆帰省 矢羽田淑子
寺開き六百年の秋澄めり 中島翠泉
どんぐりの山の温みを掌中に 宮﨑捷子
金木犀いつも風ある風車村 中坪光江
夕すすき呼べば応ふる風の音 矢吹憲子
「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2025年12月号(通巻1548号)>
寒天に吸ひ込まれゆく機影かな 稲畑廣太郎
草の花少年膝に図鑑乗せ 松藤素子
人波をおかめへらへら酉の市 涌羅由美
まなざしは天を目指して蟬の殻 譽田文香
そよ風をほんのり染めて赤のまま 河野ひろみ
夜濯やしごいて伸ばす紅き紐 吉岡簫子
空と海船も溶けゆく夏霞 葛原由起
「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<NO.176>
校庭と刈田の境警官立つ 今井 聖
産むときが来しかまきりと向き合へる 寺田達雄
おけら鳴く忘れろ忘れろ忘れろと 藤崎幸恵
出目金を狙へと姉のけしかくる 石川暘子
つくつくし眠る力の足りなくて 梅元あき子
母ほどの肩幅あらず古浴衣 長岡悦子
秋暑しどすんどすんと象の糞 西澤みず季
「むじな」(発行人=浅川芳直)【2017年創刊・宮城県名取市】
<2025年号(通巻9号)>
ほんのりと脈うちながら花筏 うにがわえりも
でこぴんで浮輪の砂を落とす帰路 大崎素直
ともすれば昼過ぎてゐる昼寝かな 木村幸人
ステップはちよつと待つてと夏のきりん 金光舞
飲みかけのビールを突き出して写る 西野結子
春風に渦の明るく玉子焼 遠藤史都
聖樹ぬけ改札のあたりが寂し 鈴木綾乃

【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年12月20日
*対象は「コンゲツノハイク」2025年12月分(このページ)です。
◆配信予定=2025年12月25日ごろ
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/fgen/S51058765/

【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年12月31日
*対象は原則として2025年12月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください。
◆配信予定=2026年1月5日ごろ
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/