【夏の季語】鯰

【夏の季語=仲夏(6月)】鯰

沼や川にすむ淡水魚。口に4本の髭があり、夜行性。歴史的仮名遣いは「なまづ」。

梅雨の時期に産卵する魚であるため、仲夏の季語とされている。「梅雨鯰」などとも。

昔は鯰が動いて地震が起こると考えられていた。安政2年10月2日(1855年11月11日)の夜に発生した安政江戸地震に際しては、多くの「鯰絵」が描かれている。

参考:江戸の鯰たち~幕末の江戸に群れる地震鯰~(東京大学地震研究所)


【鯰(上五)】
鯰小さく平たく短く見えにけり 京極杞陽
鯰見てもの書けぬ時慰みぬ 山口青邨

【鯰(中七)】
泥鰌浮いて鯰も居るといふて沈む 永田耕衣
父と子に鯰は髭をふりにけむ 加藤楸邨
一詩人鯰を釣つて戻りきし 安住敦
雨粒来鯰を押へたる石に 川崎展宏
ここに立てば鯰が浮くとお濠端 岸本尚毅

【鯰(下五)】
泥川の月夜に泛きぬ大鯰 青木月斗
刈麦のみづける雨や鯰突き 橋本鶏二
昇天の志なき鯰かな 藤岡筑邨
執念のそろそろ抜けて梅雨鯰 飯島晴子
あとずさりしつゝわたしは鯰です 川崎展宏
じゆてーむと呟いてゐる鯰かな 仙田洋子

【その他の季語と】



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