【秋の季語】鬼の子

【秋の季語=三秋(8月〜10月)】鬼の子

蓑虫」のこと。

「みのむし、いとあはれなり。鬼の生みたりければ」〈枕・四三〉に基づく。あわれなりけり。

虫は すずむし。ひぐらし。てふ。松虫。きりぎりす。はたおり。われから。ひをむし。螢。

虫と言えば、松虫。ひぐらし。てふ。すずむし。こおろぎ。はたおり(きりぎりす)。われから。ひをむし。螢。

 みのむし、いとあはれなり。鬼の生みたりければ、親に似てこれもおそろしき心あらんとて、親のあやしききぬひき着せて、「いま秋風吹かむをりぞ来んとする。まてよ」といひおきて、にげていにけるも知らず、風の音を聞き知りて、八月ばかりになれば、「ちちよ、ちちよ」とはかなげに鳴く、いみじうあはれなり。

(虫と言えば、松虫。ひぐらし。てふ。すずむし。こおろぎ。はたおり(きりぎりす)。われから。ひをむし。螢。みのむしは、たいそうしみじみしている。男鬼が生ませたならば、母親に似てこれも恐ろしい心があるだろうとして、親の粗末な衣服を引きかぶせて、「いま、秋風が吹く時が来ようとしている。待てよ」と、言い残して、逃げて行ってしまうのもさておき、風の音を聞き入れて、八月ばかりになれば、「ちちよ、ちちよ」と、はかなげに鳴く。大変しみじみしている。)


【鬼の子(上五)】
鬼の子の潮さぶる顔出しゐたり 山尾玉藻
鬼の子のあしたの雨に痩せてゐし 蘭定かず子
鬼の子の揺れゐる鯉の波のうへ 南うみを

【鬼の子(中七)】

【鬼の子(下五)】


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