
ここからは寝酒と呼んで続くなり
小池康生
新年会で一次会、二次会、うちでの三次会もたけなわ、〆のお茶漬けを啜ってもまだなんとなく物足りない。いや、もうお腹はいっぱいなんだけどね。
終電も行ってしまったしここからは寝酒だ。久しぶりに会ったんだ、まだまだ聞きたいこと話したいことは山ほどある。短冊もあるし席題句会でもしようか。さあ夜は長い。飲みすぎと夜更かしで明日の朝がちょっと怖いけど、一緒に叱られてくれるならどうってことはない。次はとっておきのウイスキーも空けようか。
掲句に描かれている酒席は新年会や句会の打ち上げといった皆で賑やかにというよりは、芯から気心の知れた二、三人でおかきでもつまみながら舐めるように杯を傾ける静かな宴の雰囲気だ。寝酒という季語からは、どことなく不健康な大人の雰囲気が漂ってくる。寝酒の本意とは寝る前に身体を温めるために飲む少量の酒のことであるが、下五に「続くなり」とあることから掲句は本来の意味ではなく、酒宴を続けるための口実としての寝酒となっているのだ。十年前の私なら「どうしようもないなぁ。この大人は」と少々呆れてしまったことだろう。しかし今ならなんとなくわかる。
歳を経るほど「また今度ご飯でも」「いつか飲みに行きましょう」の今度やいつかは曖昧になり、これきりとなってしまうこともあった。あのとき勇気を出して誘っていれば、もう少し腹を割って話せていたら、誰しもそんな後悔を抱えて大きくなったからこそ共に過ごす時間は目いっぱいまで楽しみたいのだ。
そして寝酒と称して続くなかなか不健康な宴、内緒の買い食いやつまみ食いといった小さな悪さを共有できる存在がいることも実は尊いこと。まあ後で叱られることに間違いはないんだけれどね。
(小池康生 句集「奎星」より)
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さて早くも年が明けて一週間が経ちました。まずは仕事始めや始業式お疲れ様です。今回は寝酒の句を鑑賞させていただきました。年末年始のお休み中や新年会では家族や友人、懐かしい人と杯を傾け「もう一軒行きましょ!」「あと一杯だけ」とつい遅くまで盛り上がった方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし寝酒は未成年の方やお酒をあまり嗜まれない方には馴染みの薄い、ともすれば少々怪しげな雰囲気も帯びた季語。健康的にちょっと…と思われるのもごもっともですが、親しい人とのお喋りはお酒が入らずとも楽しいもの。ちょっとした立ち話や夜の通話もいつの間にか盛り上がって一時間…ということもありませんか?今回はお酒を嗜まれない方への夜更かしドリンクと、遅くまで飲んでいる呑兵衛に「これ食べて早く寝なさい!」と出す〆の夜食をご紹介します。あっという間に過ぎていったお正月の余韻を楽しむために一献お付き合いください。
まずはお酒を嗜まれない方のための夜更かしドリンク。「ジンジャーアップルティー」
材料は下の通り。一杯分から作れます。
・水…150cc
・紅茶ティーバック…1袋
・すりおろしりんご…1/4個(りんごジュースでも可)
・砂糖または蜂蜜…大さじ1/2
・おろし生姜…少々
・シナモンパウダー…お好みで
鍋に水とすりおろしりんご、おろし生姜を加えて火にかける。沸いたら紅茶ティーバックと砂糖を加えて火を止め、蓋をして2~3分ほど蒸らす。カップに注ぎ、お好みでシナモンパウダーを注いだら完成。舌触りが気になる方は飲む前に濾すか、すりおろした材料をお茶パックに入れて煮出してみてください。
ホットは勿論、冷やしてさっぱりドリンクでもおすすめです!小さなお子様や体調が優れない方には蜂蜜を使わず砂糖をご使用くださいね。

次にご紹介するのは〆のお夜食「みぞれ汁」
基本の材料は下の通りです(2人分)
・大根おろし…約200g
・せりまたは三つ葉…適量
・きのこや豆腐など好みの食材…少々
・だし汁…300cc
・醤油…小さじ1程度
・おろし生姜…お好みで
作り方も簡単。鍋にだし汁と醤油を加えて火にかけ、沸騰したら水気を絞った大根おろしや好みの具材を入れてひと煮立ち。最後にせりや三つ葉を加えて火を止め、好みでおろし生姜をのせたら完成!
今回のレシピも顆粒だしを使えばよりお手軽に。お好みのカップスープの素を使えば和風、中華風と楽しめますね。しっかり食べたい方は野菜や肉など具材を増やしてみぞれ鍋にしてお召し上がりください!

早くも一月は中旬に差し掛かろうとしています。読者の皆さまもそろそろ初句会が済んだ頃でしょうか。
親しい人とのひとときは宴席に限らずあっという間。とは言えお開きの名残惜しさがあるからこそまた会える時が楽しみというもの。時には寝酒もいいけど身体も大切に。そろそろ吞兵衛がばれてきた私の言えることではないけれど…
いつか句座や酒宴をご一緒させていただく時はよろしくお願いします!
(佐野瑞季)
【執筆者プロフィール】
佐野瑞季(さの・みずき)
1997年静岡県生まれ
「雲の峰」所属 超結社句会「四季の料理帖」代表
第17回鬼貫青春俳句大賞
夢はかまくらの中でお餅を焼くこと
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