【秋の季語】天高し

【秋の季語=三秋(8月〜10月)】天高し

【解説】秋の空気が澄むころ、すこーんと空が高く感じられること。

たまに「天高き」と形容詞として使われたり、「天高く」と副詞として使われることもある。


【天高し(上五)】
天高し深海の底は永久に闇 中野三允
天高しやがて電柱目に入り来 波多野爽波
天高し歩くと道が伸びるなり 池田澄子
天高しほがらほがらの伊勢うどん 奥坂まや
天高し男をおいてゆく女 山口明男
天高し風のかたちに牛の尿 鈴木牛後
天高し駝鳥はいつも脱走中 小林貴子
天高し海ある方となき方と 岩田由美
天高し鞄に辞書のかたくある 越智友亮

【天高し(中七)】
塔仰ぐたびに天高しと思ふ 鷹羽狩行

【天高し(下五)】
十字架を象嵌したる天高し(トラピスト修道院) 阿波野青畝
バンジヨーをからりと弾いて天高し 西村和子
金龍の尾の逆立ちて天高し 片山由美子
ペガサスの駈けて夜もまた天高し 牛田修嗣

【天高き】
天高きとき天高き国に来し 鷹羽狩行
天高きまま満月の空となる 岩田由美

【天高く】
天高く地に菊咲けり結婚す 野見山朱鳥 
天高くシンフォニー的身体ひとつ 夏石番矢
天高く事情聴取はつづきをり 櫂未知子
天高くみんなで道をまちがえる 火箱ひろ


関連記事