【秋の季語=晩秋(10月)】末枯る
【解説】
「末枯」の動詞形。
連体形になると文語では「末枯るる」、現代語では「末枯れる」となります。
【末枯る(上五)ー末枯れて】
うら枯れていよいよ赤し烏瓜 太祇
うら枯れて雲の行衛や山の墓 飯田蛇笏
末枯れて朱焔の日ありルオー展 水原秋櫻子
末枯れて余呉川のよく曲りけり 細川加賀
末枯れや子は描きなぐる金と銀 対馬康子
末枯れて國のためとは誰も言はぬ 田中裕明
【末枯る(上五)ー末枯るる】
末枯るる今日の一歩を大切に 高野素十
末枯るる太古の森に満つる風 伊藤玉枝
【末枯る(中七)】
蓼の花草末枯れて水白し 河東碧梧桐
明るさうにも末枯れてをりにけり 木村淳一郎
【末枯る(下五)──末枯れて】
風の日は千鳥のみをり末枯れて 秋光泉児
薬草園くすりも毒も末枯れて 坂田栄三
踏み入りて末枯るるものすだくもの 境雅秋
蝦夷にうの岬にぽつんと末枯れて 星野椿
【末枯る(下五)──末枯るる】
病めばもののはかなき草も末枯るる 日野草城
悉く十二町潟末枯るゝ 高野素十
大蓼の空ざまにのび末枯るゝ 高浜年尾
夕方は近所賑やか末枯るる 波多野爽波
よしと言ひあしと言ひ皆末枯るる 伊藤伊那男
地震の禍を留め六甲末枯るる 稲畑廣太郎
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】