冬の季語

【冬の季語】狐

【冬の季語=三冬(11月〜1月)】狐

【ミニ解説】

古来、日本で「狐」といえば、アカギツネの亜種ホンドギツネのことだったが、蝦夷地進出後は、北海道の別亜種キタキツネも含むようになった。夜行性。夜間に鳴きながら徘徊する。

有名な句としては、

母と子のトランプ狐啼く夜なり 橋本多佳子

がある。

冬が発情期であるため、出産は春。「狐の子」は、春の季語とされる。

「狸」と同様に、人を化かすとされるが、とりわけ狡賢くそつがないとされる。

イソップ童話などの影響もあるか。

「狐火」という冬の季語もある。


【狐(上五)】
狐を見てゐていつか狐に見られてをり 加藤楸邨

【狐(中七)】
母と子のトランプ狐啼く夜なり 橋本多佳子
吉次越狐の径となりて絶ゆ 水原秋櫻子
いつまでも狐の檻に襟を立て 小泉洋一
冬山家狐を飼へる臭ひあり 清崎敏郎
三日月に狐出て見よオホーツク 藤田湘子
新道をきつねの風がすすんでゐる 飯島晴子
息継ぐや躍る狐がいつも前 竹岡一郎
晴れやみごとな狐にふれてきし祝日 田島健一

【狐(下五)】
昼ぬくくひとのみちゆく狐かな 松村蒼石
耳うごく飛騨の客僧狐鳴く 山上荷亭


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