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択ぶなら銀河濃きころ羊村忌  倉橋羊村【季語=銀河(秋)】


択ぶなら銀河濃きころ羊村忌

倉橋羊村 


第一句集『渾身』(1991)に所収。

俳句では、故人を偲んで○○忌を季語化することがあるけれど、それはあくまで亡くなってからのこと。

掲句は、自分自身で「羊村忌」といってしまったところに俳諧味。

しかも第一句集で! そんな作者が亡くなったのは、今年2月のことでした。

1950年代から(20代のうちから)「馬酔木」で活躍し、1964年には「鷹」を創刊した藤田湘子にしたがい初代編集長として参加するも、後に退会。

1989年、青木泰夫より「波」主宰を継承。倉橋羊村は同時に、道元を師と仰いでさまざまな著作を残したけれど、この「銀河」に色濃く感じられるロマンは、やっぱり秋櫻子イズム。(堀切克洋)



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