昼顔の見えるひるすぎぽるとがる
加藤郁乎
この句、17音のうち5音が「る」である。この句よりも「る」の数が多い俳句というのは、これ以降存在しているのだろうか。それはともかく、この音韻的な心地よさから浮かぶイメージの句については、坪内稔典が「私はこの句から取り合わせの働きを一瞬のうちに教えられたのだった」と述懐しているけれど、「取り合わせ」というよりは「音合わせ」ではなかろうか。この音のレトリックは、「掛詞」などに通ずるものなのだろうが、この「イメージの重ね方」は、いまだ理論化されていない気もする。時代的には、ジョン・ケージやマース・カニンガムの「偶然性」とも重なり合っているようだ。『球体感覚』(1959)所収。(堀切克洋)
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