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夏落葉降るや起ちても座りても 宇多喜代子【季語=夏落葉(夏)】

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夏落葉降るや起ちても座りても 

宇多喜代子


時代を感じさせない句だ。かつてあったかもしれないし、なかったかもしれない。常磐木落葉(ときわぎおちば)という季語もあるとおり、夏に葉が落ちるのは、秋になるとどんぐりが落ちる椎や樫などの常緑樹である。ベンチを選んで座ってみても、やはり落ちてくる。そこを厄介に思いながらも、同時に笑っているような、そんな句だ。そういえば、金子兜太には〈夏落葉有髪も禿頭もゆくよ〉なんていう句があった。『森へ』(2018)所収。(堀切克洋)



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