どちらかと言へば麦茶の有難く
稲畑汀子
誰かの家に行き、あるいは仕事の打ち合わせなどで、「何がいいですか?」といくつかの選択肢を提示されたが、これというものがない。「…まあ、じゃあ麦茶で」の「…まあ、じゃあ」の部分は、わりと〈麦茶〉という季題の本質だったりするわけで、ほかの飲み物を入れてみても、なかなかうまくいかない。個人的なことをいうと、私は麦茶の匂いも味わいもそれほど好きではなく、これまでにたぶん数回しか飲んだことがない。でも好きな人もいるんだろうなあ。(堀切克洋)
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】