【夏の季語=晩夏(7月)】干梅
「梅雨」の前後に実った「青梅」または完熟梅を収穫して干したもの。
「梅干」が食用として(完成して)供されるものというイメージが強いのに対し、「干梅」というと、まさに干されている途中の梅、という感じがする。
【干梅(上五)】
干梅の力収めて夜の家 西東三鬼
干梅や眼をやるたびに紅に 山口誓子
干梅を見るや惨事を見る如く 相生垣瓜人
干梅の上を念仏流れけり 田川飛旅子
干梅の匂ひの強き真夜の爪 藤本美和子
【干梅(中七)】
女やすむとき干梅の香が通る 橋本多佳子
有難く干梅に皺生れけり 藤田湘子
一つだに動かぬ干梅となりて 佛原明澄
【干梅(下五)】
邯鄲のこゑのぼりゐる夜干梅 森澄雄
一生の残り時間の夜干梅 岡本眸
【ほかの季語と】
黒き蟻赤き干梅相容れず 百合山羽公