夏の季語

【夏の季語】梅雨

春から盛夏への季節が移り変わる時期に、雨や曇りの日が多く現れる季節現象。

梅雨前線が四国付近で停滞して活発化すると、大雨で「出水」などの災害が発生する反面、夏期の渇水に対しては「喜雨」となる。

梅雨がはじまることは「梅雨入」、明けること「梅雨明」と呼ぶが、明確な一日が定まるとは限らず、気象庁が発表を撤回することもある。


【梅雨(上五)】
梅雨の海静かに岩をぬらしけり 前田普羅
青梅雨の昼の浴槽あふれしむ  正木ゆう子
梅雨鯰利口な奴が増えてゐる 横沢哲彦
梅雨曇りキリンのような恋人と なつはづき
梅雨兆す汐入川の匂ひかな 杉原祐之
梅雨おんな闇の国から踊りでて 加藤知子
梅雨寒し忍者は二時に眠くなる 野口る理
梅雨暗く根菜類を唐揚に 生駒大祐

【梅雨(中七)】
船室の梅雨の鏡にうつし見る 日原方舟
さよならと梅雨の車窓に指で書く 長谷川素逝
抱く吾子も梅雨の重みといふべしや 飯田龍太
点滴や梅雨満月の高さより 石 寒太
逝く父の呼びしか梅雨の闇に覚め 舘野豊

【梅雨(下五)】
ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき 桂信子
「我が毒」ひとが薄めて名薬梅雨永し 中村草田男
おもてから夕刊が来て梅雨ふかし  八田木枯
黒々と碧の遺墨や梅雨の寺 栗田やすし

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