【春の季語=初春(2月)】剪定
樹木の枝を切り、形を整えたり、風通しを良くすること。「剪定す」と動詞で用いられることもある。
大きく分けて、「樹木の剪定」と「果樹の剪定」があるが、後者の場合には生産性向上のために、欠かせない作業であり、「梅」、「桃」、「柿」、「蜜柑」、「栗」、「林檎」、「さくらんぼ」などで行われる。季語としても後者の意として用いられることが多い。
松は春にも剪定が行われることがあるが、越冬や正月準備を意識した「松手入」は秋の季語。
夏になってから街路樹の枝を落とすことは「木の枝払ふ」。
【剪定(上五)】
剪定の枝落ち鋏其の位置に 高浜虚子
剪定音の中ゆき父の忌なりけり 細川加賀
剪定を促すひかり野にあふる 福田甲子雄
剪定の枝を藪より引き出だす 大串章
剪定の枝たちまちに嵩ばれり 伊藤伊那男
剪定の枝踏んで海見ゆるなり 石田郷子
剪定の済み十字架めく葡萄の木 片山由美子
剪定や一音あれば一枝飛ぶ 中村宗男
【剪定(中七)】
蝦夷の血や剪定鋏大きかり 宮坂静生
夕星へ剪定の枝とばしけり 寺島ただし
【剪定(下五)】
壮年は樹にもありけり剪定す 依田秋葭