神保町に銀漢亭があったころ【第21回】五日市祐介

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摩訶不思議な俳句の世界

五日市祐介

俳句のない本来の日常に戻って早や数か月。今振り返っても、銀漢亭の亭主であった伊那男さんの親戚というだけでこんなにも長く銀漢亭に関わることになろうとは。

開店当初は近所のサラリーマンや伊那男さん、光代さん夫婦の知り合いがやってくる街中の立ち飲み屋だった銀漢亭。それがいつしかカウンターには椅子が並び、常連客が次々と俳人になっていき、俳人が俳人を呼び。。。あれよあれよとお店に来るお客はほぼ俳人だけに。。。

店に入り切れないほど俳人が集い、3密状態で句会が行われる稀有な居酒屋。句会中はさっきまでガヤガヤしていたと思えば、突然選句が始まり店内は静寂。。。居酒屋なのに誰も会話をしていない。。。俳句に縁のない私やお店の前を通る人たちからしてみれば、何とも不思議な光景が広がる世界。

俳人のたまり場と化した銀漢亭で俳句部外者の私が感じたことは俳句の世界には年齢も肩書も年収も関係ないこと。基本さえしっかりマスターすれば句会でまだ句歴の浅い人にも票が入ったりする。主宰などの上級者より弟子や句歴の浅い人に票が集まるということが起こるのだ。

これはスポーツではなかなかないこと。ゴルフやテニス、サッカーではうまい人がいつもうまくて下手な人が上級者に勝つなんてことはほぼありえない。そういう意味では俳句は面白い世界だと感じた。

そんな俳句も他の趣味と同様、俳人によって向き合い方もそれぞれ。俳句と真摯に向き合い、賞に応募したり、句集を出すような本格的な人たち。締め切りに追われつつ、俳句を趣味として各々のペースで楽しんでいる人たち。そして俳句はそこそこに各種イベントや打ち上げの飲み会で真価を発揮する人たち。

それぞれの俳句に対する姿勢は若干違えど、様々な肩書の人たちがいつも楽しそうに集まっている光景は素晴らしく、仕事以外の趣味&仲間を持つ事の大切さを教えてもらった気がしました。スポーツと違い、晩年体力が衰えてもいつまでも楽しめるのも俳句の良いところ。

俳句という一生の趣味&その仲間と出会えた幸運な皆様。これからも仲間たちと互いに切磋琢磨して良い句を作っていってください。そして最後に、くれぐれも飲み過ぎだけは気をつけて。。。


【執筆者プロフィール】
五日市祐介(いつかいち・ゆうすけ)
昭和54年、京都生まれの大阪、東京、札幌育ち。非俳人のフリーランス。元銀漢亭のカウンターの中にいた洋服の派手な人。


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