冬の季語

【冬の季語】寒卵(寒玉子)

【冬の季語=晩冬(1月)】寒(寒玉子)

鶏が「寒中」に産んだ卵。栄養価が高く、保存がきくとされる。

明治の終わりから大正期にかけて「寒玉子」という力士がいた。

初場所や昔しこ名に寒玉子 百合山羽公

という句がある。


【寒卵(上五)】
寒卵二つ置きたり相寄らず 細見綾子
寒卵割る手ごたへを手の内に 三島広志
寒卵扉を開けるまで一人  岡本紗矢
寒卵蛇の供物として売らる  岩崎信子
寒卵みたいな俺の涙かな 喜多昭夫
寒卵善根宿の朝食に  夲庄康代
寒卵昼のひかりにかざしけり 岩田由美
寒卵しづかに雲と雲はなれ 田中裕明
寒卵海光さしてゐるごとし 涼野海音
寒卵良い学校へゆくために 岩田奎

【寒卵(中七)】
微動だにせぬ寒卵割りて呑む 小田島渚

【寒卵(下五)】
不機嫌の二つ割つたる寒卵 鈴木真砂女
東京は暗し右手に寒卵  藤田湘子
着の身着のままにまぶしき寒卵 友岡子郷
ころがりて音の重たき寒卵 髙橋悦子
生みたての形而上学寒卵  青木澄江
割るるとき追ひつく重み寒卵 金原知典
一切の雲の去り際寒卵  中村安伸
一巡りして弧が閉じる寒卵  藤田哲史


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 【夏の季語】コレラ/コレラ船
  2. 【冬の季語】愛日
  3. 【春の季語】春の月
  4. 【冬の季語】寒晴
  5. 【冬の季語】臘梅(蠟梅)
  6. 【春の季語】蜃気楼
  7. 【秋の季語】白式部
  8. 【夏の季語】草田男忌/炎熱忌

おすすめ記事

  1. つばめつばめ泥が好きなる燕かな 細見綾子【季語=燕(春)】
  2. 「パリ子育て俳句さんぽ」【1月29日配信分】
  3. 去年今年詩累々とありにけり 竹下陶子【季語=去年今年(冬)】
  4. なにがなし善きこと言はな復活祭 野澤節子【季語=復活祭(春)】
  5. 【冬の季語】冬立つ
  6. 【第7回】ラジオ・ポクリット(ゲスト:篠崎央子さん・飯田冬眞さん)【前編】
  7. コーヒーに誘ふ人あり銀杏散る 岩垣子鹿【季語=銀杏散る(冬)】
  8. 逢いたいと書いてはならぬ月と書く 池田澄子【季語=月(秋)】
  9. 星老いる日の大蛤を生みぬ 三枝桂子【季語=蛤(春)】
  10. 【冬の季語】聖夜劇

Pickup記事

  1. 膝枕ちと汗ばみし残暑かな 桂米朝【季語=残暑(秋)】
  2. 【夏の季語】氷菓/アイスクリーム ソフトクリーム アイスキャンデー 氷菓子
  3. 鎌倉を驚かしたる余寒あり 高濱虚子【季語=余寒(春)】
  4. 老僧の忘れかけたる茸の城 小林衹郊【季語=茸(秋)】
  5. 名ばかりの垣雲雀野を隔てたり 橋閒石【季語=雲雀野(春)】
  6. 【連載】「ゆれたことば」#2「自然がこんなに怖いものだったとは」堀田季何
  7. 東京に居るとの噂冴え返る 佐藤漾人【季語=冴え返る(春)】
  8. 消すまじき育つるまじき火は埋む 京極杞陽【季語=埋火(冬)】
  9. 真っ白な息して君は今日も耳栓が抜けないと言う 福田若之【季語=真っ白な息(冬)】
  10. 【春の季語】春の野
PAGE TOP