【夏の季語】木耳

【夏の季語=仲夏(6月)】木耳

きくらげ。春から秋にかけて、広葉樹のニワトコ、ケヤキなどの倒木や枯枝に発生する。

「茸」は一般的に秋の季語とされるが、木耳は「梅雨菌」とともに、夏の雨の多い時期の季語とされる。生のきくらげは6月から9月頃が旬であり、スーパーで目にすることも多くなる。

和名の由来は、食感がクラゲに似ることによるが、中国名(漢名)で「木耳」(ムーアル、拼音: mù‘ěr)と書き、熟字訓で「きくらげ」と読ませる。すなわち世界では、「人の耳」に似ていることが名に転じており、属名 Auricularia はラテン語の「耳介」に由来する。種小名 auricula-judae は「ユダの耳」を意味し、ユダが首を吊ったニワトコの木からこのキノコが生えたという伝承に基づく。英語でも同様に「ユダヤ人の耳」を意味するJew’s earという。この伝承もあってヨーロッパではあまり食用にしていない。


【木耳(上五)】
木耳や引窓明いて厨の日 嶋田青峰
木耳のらんるのなかを吃りけり 小川双々子
木耳を闇の歯ごたへかとおもふ 戸矢一斗
木耳をおくれて少し思ひ出す 鴇田智哉

【木耳(中七)】
夕ぐれを飛ぶ木耳の笑いけり  久保純夫

【木耳(下五)】
わかったふりで暗喩のような木耳食う 金原まさ子



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