前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から「(最大)7句」を推薦いただき、掲出するコーナー。諸事情により6月から11月まで長期休載をしておりましたが、その間にお届けいただいた句がこちらです。ご投稿いただきました結社の皆さまには、お礼申し上げます!
「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<202024年7月号(通巻175号)>
遊ぶ水働く水や溝浚ふ 山口昭男
春の土象の背中にのつてゐる 高橋真美
花びらを拾うて夜の港かな 藤井万里
つちふるや茶杓に竹のふし一つ 水上ゆめ
傾国の紋白蝶が顔のまへ 山口遼也
種浸山の向かうの煙何 小鳥遊五月
湖を離れてよりの春の風 舘野まひろ
「炎環」(主宰=石寒太)【1989年創刊・埼玉県志木市】
<2024年6月号(通巻528号)>
チャップリンの靴宙へ飛び春の風 石寒太
春雷や脳の抽斗すこし開け 鈴木正芳
あたたかや駅にバターのかをり満つ 三倉十月
リラの花なんとしてでも帰りたし 森戸柚斎
十二個に分くるパン種春の月 丑山霞外
万愚節恋の旧字に糸ふたつ 竹内洋平
坂の上の鍼灸院や白木蓮 飯沼邦子
「銀漢」(主宰=伊藤伊那男)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2024年8月号(通巻164号)>
春の蚊の人の温みに来て打たる 伊藤伊那男
ゴム長で籠へ蹴り込む糶の蛸 山口輝久
辻ごとの三本締めや三社祭 辻本理恵
目覚めてはさてどう降りぬハンモック 島織布
羅に透きゐる安房の波高し 伊藤庄平
放課後はりんご並木の袋掛 坂下昭
人に馴れ煎餅に馴れ袋角 山田茜
<2024年9月号(通巻165号)>
新茶まで辿り着きたる病あと 伊藤伊那男
形代や穢の嵩に浮き沈み 山田茜
苔の花ルーペの中の森に咲く 西田鏡子
故郷の鮎の苦味の濁らざる 有賀理
木曾谷の身を寄せ合うて梅雨茸 飛鳥蘭
夕凪や船板塀の続く路地 清水佳壽美
夏燕洗ひ張りする母の上 島谷高水
<2024年10月号(通巻166号)>
学園を城と成したる町涼し 伊藤伊那男
涙まだ知らぬハンカチ売られけり 深津博
父と子の会話短き帰省かな 中山桐里
おのおのの水音を腰に鮎を釣る たなかまさこ
蚊遣香一夜の夢を守るべし 大沼まり子
ハンモック羽化する前の深眠り 白井八十八
陶枕の胡蝶の誘ふ桃源郷 塚本 一夫
<2024年11月号(通巻167号)>
怖づ怖づと手術の痕を更衣 伊藤伊那男
岐阜提灯点す一間の草色に 岡城ひとみ
接収の記憶抱きし夏館 白井飛露
三代で使ふ踏台盆支度 武井まゆみ
足音とも風のこゑとも盆がくる 半田けい子
もう涸れてゐるかもしれぬ天の川 長井哲
手拭の端のほつるる晩夏かな 宮本起代子
「櫟」(主宰=江崎紀和子)【1993年創刊・愛媛県東温市】
<2024年6月号(通巻369号)>
春キャベツさくさく明日を疑わず 江崎紀和子
寿限無寿限無やぐるぐると蝌蚪の紐 杉山望
日常は消してゆくもの海朧 松田六呉
いつだつて春一番は向かひ風 夏目たかし
反応しない指紋認証花ぐもり 重松玲子
晴をんな卒業ガウンはためかせ 黒木慶英
お話があると言はれて桜餅 合志伊和雄
「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2024年6月号(通巻165号)>
阿仏尼の塔に小箒ははこぐさ 藤田直子
雨の日は草に寝られず啄木忌 田島三閒
万愚節どこかでコルク抜ける音 三木瑞木
シーソーの片方重し花の雲 浦城悠紀
靴持ちて通る隣の花筵 長尾ゑみる
まだ遠き対向車待つ花の里 橋本みのり
フィジカルは強くありたし草団子 小泉道子
<2024年7月号(通巻166号)>
秞子の忌むらさきかたばみ群れてをり 藤田直子
蒙古襲来めく玄海の夜焚船 鈴木伸一
時の日や枝雀十八番の時うどん 井上青軸
青芒風生み我の尖たる 外池拓人
蟇交む人の減りゆくこの国に 鈴木只人
新樹光晩年もまた道長し 津國紅
唐突にドレス脱ぐごと薔薇散りぬ 藤代絢子
<2024年8月号(通巻167号)>
香炉の蓋立てかけてある炎暑かな 藤田直子
白湯さへも旨き齢や穴子鮨 大和田いそ子
鮴を炊く醤油にほへり島の路地 塚原涼一
ちちははは天にすこやか桐の花 原真砂子
鰻食ぶ金運ほくろ濃くなりて 伊藤美紀子
真つ向に東山据ゑ川床涼み 玉木郁夫
羊歯叢にルソーの獣夏の月 松永明美
<2024年9月号(通巻168号)>
イマジンを流しつづけよ敗戦忌 藤田直子
女帝像ほの白く立つ露都白夜 岡根谷良臣
財布より小銭こぼるる大暑かな 永田満徳
涼しさや白磁の壺に銘の無く 古川恵子
少年の恋実る日や麦熟るる 嵯峨広靖
悪童に会ひたき川よ夏休み 南出ひろみ
梅雨寒のため息少し引き出しへ 橋本みのり
<2024年10月号(通巻169号)>
百歳の母に花野の風軽し 藤田直子
光秀はガラシャを知らず百合の花 塚原涼一
もの言はぬ星の瞬き原爆忌 藤沼花代
咲き止まぬ百日草の百日目 永吉進
稲光アガサが謎を解く頃か 松永明美
鳥兜悲恋いつしか怪談に 疋田美穂
知らぬ間に狐となりて踊るなり 東蕾
「青山」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2024年6月号(通巻499号)>
黄色とは黄金色とも福寿草 山崎ひさを
折れ曲り折れ曲りかはほりが消ゆ しなだしん
桃吹くや大和国に平城京 井越芳子
侘助や渡り廊下を本殿へ 水谷由美子
三匹の犬の散歩や木の芽晴 東畑孝子
退屈さうに退屈さうな金魚見る 坂東文子
アーケードの端に小鳥屋うららけし ローバック恵子
<2024年7月号(通巻500号)>
菖蒲湯に働く手足伸ばしけり 山崎ひさを
行水のをはり盥を返す音 しなだしん
薄氷を踏む鳥たちは影持たず 井越芳子
しやぼん玉弾けて我に返りけり 水谷由美子
航跡の波より白く百千鳥 山本洋子
春の雪やみ北天に大熊座 東畑孝子
鎌倉の小町の冷し胡瓜かな 入部美樹
<2024年8月号(通巻501号)>
出航やふるさとへ振る夏帽子 山崎ひさを
堰外したる水勢に手をすすぐ しなだしん
楼上に寄せくる春の海の音 井越芳子
構内のラッシュを飛びて燕の子 水谷由美子
松の花けぶる習志野駐屯地 山本洋子
竹林に糸のやうなる春の雨 東畑孝子
研修の白衣のままの花見かな ローバック恵子
<2024年9月号(通巻502号)>
夏草と呼び本当の名を知らず 山崎ひさを
さくさくと切つてオクラの星星星 しなだしん
ものの芽は戦がぬものと見てゐたる 井越芳子
仏蘭西の骨董市の夏手套 水谷由美子
畝つくる鍬にとびつく雨蛙 山本洋子
磯遊び沈む夕日を見て帰る 東畑孝子
止め石の奥に大岩萩の寺 入部美樹
<2024年10月号(通巻503号)>
あをあをと砂礫を這うて落鰻 しなだしん
囀に近づきすぎて退りたる 井越芳子
睡蓮の開く正方形の池 水谷由美子
陶片を光らせてゐる緑雨かな 山本洋子
竹林の風に汗の身委ねけり 東畑孝子
鳩鳴いてほほけて飛んで蒲の綿 入部美樹
洋館に響く靴音青葉寒 ローバック恵子
「蒼海」(主宰=堀本裕樹)【2018年創刊・東京都新宿区】
<24号>
人に人かさなり聖樹飾りけり 千野千佳
凍蝶の薄く踏まれてにほふ砂 早田駒斗
晴れ晴れと寒さの底に立ちにけり 杉本四十九士
招かれて庭の大根をひとつ抜く 武田遼太郎
花ミモザくすぐるまへに笑ひだす 柴田美玲
まやかしの世のよく伸ぶる雑煮餅 曲風彦
集合の前に探梅はじまりぬ 中島潤也
<25号>
ゆきゆきて鏡の間あり春の夢 福田健太
チューリップ散り切りしとき風に立つ つしまいくこ
蟻穴を出でて隣の穴に入る 千野千佳
春愁をこぼさぬためのヘッドフォン 加留かるか
老いし母平らに雛を並べけり 種田果歩
島削る那由多の波よ涅槃西風 坂本厚子
紋黄蝶ふらふら地中美術館 細川鮪目
「鷹俳句会」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2024年7月号>
頭に体躯連結し蟻穴を出づ 小川軽舟
下着にもよそゆきのあり紫木蓮 小澤光世
四月一日卵があればいい男 牧村佳那子
ガーベラがガーベラですと言ひたげに 作田きみどり
春昼の画廊に碧き波走る 松尾益代
花冷やことば触れ合ふだけの恋 鈴木沙恵子
ヘッドフォン外せぬ少女桔梗の芽 蓬田息吹
<2024年8月号>
人生のいま晴間らし柿の花 小川軽舟
肘ふれて親しくなりぬ夏期講座 佐野明美
噴水やスマホに開くシフト表 小林陽子
東京の巨大な時間新社員 加藤又三郎
蜂飼ひも刃物研ぐらし花うばら 岩佐恭子
ペリカンの喉なみうてる薄暑かな 林山任昂
マネキンの硬き乳房や聖五月 中本弓
<2024年9月号>
ポンチ楽し丸くくり抜くメロンなど 小川軽舟
積乱雲起つや十年後の自分 原信一郎
適当がいいね胡瓜を丸かじり 竹岡佐緒理
原子炉の湖碧く澄む白夜かな 福永青水
芋の露空がころんと転がりぬ 亀田紀代子
虹を待つ来るはずのバス待つやうに 吉岡朋子
夕雲の今様襲(いまやうがさね)夏祓 木内百合子
<2024年10月号>
巣を発ちし働き蟻に今朝の空 小川軽舟
香水の封切る繋縛(けばく)始まれり 三代寿美代
バケツごとたふるるモップ油照 川原風人
山百合の咲き定まりて傾ける 辻内京子
さざめく樹ささめく草や風光る 安藤辰彦
黒揚羽真赤な影を欲しがりぬ 折勝家鴨
順番に死ぬわけでなし目刺焼く 大野晴真
<2024年11月号>
稲妻も多情多恨の夜なるべし 小川軽舟
雁来紅旅のをはりの肌乾く 岩永佐保
舟揚げて貝殻軋る晩夏かな 山下桐子
白髪の帰省子柱疵を撫づ 本橋洋子
何人も血のいろひとしいわしぐも 南十二国
雲海や宿坊を立つ行者講 勝島公司
さやうなら蟻の会社のきりぎりす 小島月彦
「田」(主宰=水田光雄)【2003年創刊・千葉県市川市】
<2024年8-9月号(通巻255号)>
まはり皆我より若く見えて夏 清水余人
水打つて打つてわが街楽しくす 草子洗
青き踏む両手ぐるぐる深呼吸 兼行美栄
両腕は春をあつめてストレッチ 笠原小百合
談笑の人みな踏みて鼓草 佐藤千恵子
あめんぼの蹴り均しゆく水面かな 平野山斗士
マシュマロのやうな微笑春ショール 伊東慶子
「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2024年7月号(通巻968号)>
血糖値測る血の粒四月馬鹿 太田美沙子
花冷や狸饂飩の黒い汁 原隆三郎
蝶よぎるまでぬかるみを見てゐたり 板倉ケンタ
付いてくるかと振り向けば春の蘆 大熊光汰
荊棘線が日輪を切り蝌蚪に足 延平昌弥
犬にジャーキー割いてくれしよ去年の春 梅田実代
つちふるや血の筋残る革財布 ばんかおり
「鳰の子」(主宰=柴田多鶴子)【2011年創刊・大阪府高槻市】
<2024年6月・7月号(通巻66号)>
ため口に敬語のまじる新社員 太田健嗣
猫と居るひと日閏の二月尽 駒木 敏
春の風祈りのサリーふくらんで 長野順子
悴む手握り寄り添ふボランティア 永野壽一
春灯やいつの間にやら筆不精 村上みちこ
迷ひ道カーナビ黙り山笑ふ 島田由加
日を追うて陰雪少しづつ汚る 政元京治
<2024年8月・9月(通巻67号)>
花時の奈良に買ひたるお花墨 師岡洋子
閉めるとき息吐く箪笥桐の花 池田和子
傾ぎたる菩薩の頭練供養 太田健嗣
ひと息を風に遅れて鯉のぼり 古曵伯雲
人生のまだ予告編こどもの日 長野順子
屯所には「誠」の幟花は葉に 廣瀬正樹
ぬくき手に打たれし鍼や春浅し 島田由加
<2024年10月・11月号(通巻68号)>
笛を手にすればたちまち祭の子 古曵伯雲
夏至の月掲げ屋上ワインバル 駒木 敏
バス降りてでんでんむしの雨の中 多田 檀
南座のはねて鴨川夏衣 永野壽一
白南風やセンターライン真新し 政元京治
回診の医師にほのかなコロンの香 岩崎可代子
アロハシャツ似合ふと言はれ街に出る 山口 登
「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2024年6月号(通巻112号)>
だぶだぶのライフジャケット子供の日 千々和恵美子
草笛のするどき音や一度きり 安倍真理子
少年の自我の目覚めや時鳥 森 和子
亡骸に白きベールと薔薇の花 渡辺味蕾
春風過ぐ水琴窟のピアニッシモ 大里えつを
マロニエの花図書館へ通ふ道 明石和夫
家中を電車ごつこの薄暑かな 温水廣子
「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2024年7月号(通巻1531号)>
寿福寺に立子忌といふ句読点 稲畑廣太郎
針納糸の七色褪せぬまま 中村恵美
盆梅の斜め四十五度の空 伴統子
春寒を乗せて無人の観覧車 涌羅由美
静謐な風を孕みて鶴引きぬ 吉岡簫子
神代より続く木洩れ日伊勢参 葛原由起
氷川丸侍らせ春の海ゆるり 荒井桂子
<2024年8月号(通巻1532号)>
春光の波折り曲げて織り交ぜて 稲畑廣太郎
空青く白梅の白なほ白く 奥村里
巡礼の影立ち止まる菫かな 山田佳乃
神に糸引かれ仔馬の立ち上がる 笹尾清一路
朝には二分咲き夕は花の塵 酒井湧水
春愁や空はこんなに青いのに 池末朱美
まなざしのつよさに耐へてゐる桜 進藤剛至
<2024年9月号(通巻1533号)>
戦無き城新緑の攻め上る 稲畑廣太郎
春の土捏ねて俳句を練つてをり 塚本早苗
句碑の辺のゆたかに光る春の水 椋麻里子
思ひ出とともに欠けたる桜貝 涌羅由美
高騰の地価は素知らぬ烏の巣 荒井桂子
手と手と手つなぎて親子春の雲 武藤星江
古刹守る花の樹齢の二千年 鳴戸まり子
<2024年10月号(通巻1534号)>
六月のバージンロードてふ奈落 稲畑廣太郎
明日の色明日の色へと山若葉 山田佳乃
供華朽ちてゐる姫女菀咲いてゐる 岸田祐子
違ふ恋してゐる双子さくらんぼ 酒井湧水
平穏に背く夢見し青葉の夜 赤松雅人
祈りとはうつくしきもの緑陰に 小寺美紀
炎天やによきりと屋根に電波塔 青園直美
<2024年11月号(通巻1535号)>
夕星の火傷してゐる暑さかな 稲畑廣太郎
蝌蚪の紐点に始まるいのちかな 涌羅由美
立ち止まるたび違ふ彩薔薇の園 山田佳乃
花合歓や夢覚めてなほ夢の中 笹尾清一路
虹の始まりとは終り解けぬ謎 河野ひろみ
猛る朱に潤む朱のあり花石榴 菅谷糸
夕焼は空が脱力する時間 進藤剛至
「森の座」(代表=横澤放川)【2017年創刊・東京都文京区】
<2024年6月号>
枝ほきと枝ほきとかな柿を採る 横澤放川
補修工事(リフォーム)の足場解体閏果つ 中村弘
憲法記念日「民」の解字を質したる 小林收
東風吹くやみな光だす庭のもの 金崎雅野
しやぼん玉ぱちんと割れて卒乳す 橋原涼香
時計屋にあふるる時間花蘇芳 平山千穂子
囀をくぐり父母待つ家へ 齋藤バナナ
<2024年8月号>
枯蟷螂上天青さ容赦なし 横澤放川
俗界にあり俗気なし著莪の花 矢須恵由
鳥葬や鷹の集まる素き丘 田山康子
霾天の夕月いまや冴えわたる 内田洋
花御堂しつとり昨夜の雨あがる 大島良子
朝日子を毀さぬやうに代田澄む 北杜駿
苗札に花の名子の名花言葉 橋原涼香
<2024年9月号>
もうすぐに日のまはりくる冬小菊 横澤放川
ランドセルに弾むお守り風五月 和田西方
切り結ぶかに海峡の夏燕 吉次薫
海よりも幼稚な初夏の空の色 三浦美津子
車夫発てりぐいと日焼けのふくらはぎ 小林迪子
白々と未明の雨よ山法師 松本千代美
はるばると明日思はるる挿木かな 北杜駿
「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2024年7月号>
桜しべ降る爆弾はまだ降らず 杉野圭志
刈りあげのうなじパイナップルぷんと 福井たんぽぽ
逆さまのブルージーンズ南風 小山内杏
朧めく舫ひデコイの戦艦(いくさぶね) 三国眞澄
ギヤマンの屍は砂に眠りゆく 藤原ハルミ
旧友の柩薫風の右側 平倫子
百閒忌ひびわれ多きラングドシャ 夏埜さゆり女
<2024年8月号>
かたつむりグローバルつて終はるよね 土井探花
東京の金魚田のある町に住む 大村富美子
にんげんは二度童なる青林檎 三品吏紀
江別にも世田谷ありて牛洗ふ 三谷なな子
三光鳥鳴きをり月は目的語 浅井鰭次
新緑の川に涙をまぎれさす 冨田佐惠子
太陽系第三惑星どうしてもバナナは曲がる 蛾だらけミナ
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】