前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から推薦句を送っていただき、一覧として掲出するコーナーです。毎月、募集していますので、ご協力いただける俳誌・結社があれば、このページをご覧ください(原則、毎月末締切、翌月5日ごろ配信です)。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。
また、このページの掲出句から、読者の皆さんの「推しの一句」(未来の名句となるかも)を選んでご鑑賞いただく読者参加型「コンゲツノハイクを読む」は、1月20日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。お待ちしてます!
コンゲツノハイク 2025年1月
(2024年12月刊行分)今月の参加結社☞「秋草」「伊吹嶺」「海原」「火星」「かつらぎ」「樺の芽」「銀化」「銀漢」「澤」「秋麗」「青山」「蒼海」「鷹」「都市」「ふよう」「ホトトギス」「南風」「濃美」「雪華」
「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2025年1月号(通巻181号)>
白鳥を見て白鳥に見られたる 山口昭男
何もかも踏んで狩人やつて来る 小鳥遊五月
秋澄むや一信もつて寺に入る 松田晴貴
かつて友達だつた無花果落ちてゐた 竹中健人
その冬の鹿の視線を知つてゐる 高橋真美
弱虫となれば茶の花見てをりぬ 鬼頭孝幸
銀杏の匂ふ社よ昼を食ふ 木村定生
「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2024年12月号(通巻318号)>
一投は地球すれすれ運動会 河原地英武
打ち損じたり鼻先に来し秋蚊 栗田やすし
丸薬の瓶に貼りつく厄日かな 中斎ゆうこ
秋澄むや湖北の漁師風を嗅ぐ 加藤剛司
皺くちやな遅延証明野分あと 朝倉淳一
独り酒月の兎も寝転んで 野村和甚
夢二忌や針の欠けたる蓄音機 日下雄介
「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2024年12月号(第64号)>
傷口のようなくちびる処暑をいう 榎本祐子
仰向けの蝉に最期の空広く 小野地香
秋蝶の翅のよごれを耳打ちす 小西瞬夏
秋旱プラスチックの花汚れ 小松敦
流れ星ばかりあつまる映画館 ナカムラ薫
しあわせに斜面のありて青バナナ 室田洋子
それぞれの稚魚を放して天の川 望月士郎
「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2024年12月号(通巻1019号)>
河豚食べて大阪弁の他知らず 山尾玉藻
月明や猫入れ閉づる札所寺 大山文子
地を這へる朝顔の紺獣めく 坂口夫佐子
鵙の贄風に叫んでをりにけり 山田美恵子
さかさまに椅子積んである穴惑 湯谷良
軍列のごと進み来る踊かな 五島節子
へうたんの面輪に徳のごときもの 蘭定かず子
「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2025年1月号(通巻1141号)>
短日やラジオ収録慌たゞし 森田純一郎
斎宮趾冬の菫を摘みにけり 平田冬か
句の縁病の縁素十の忌 村手圭子
八雲忌や松江に残る旅鞄 木村由希子
十薬に足入るすきもなかりけり 出木俊子
先着の飛蝗の跳ぬる坊泊 武田順子
ピカピカのザイルを恥づる登山かな 阪野雅晴
「樺の芽」(主宰=粥川青猿)【1967年創刊・北海道帯広市】
<第54巻第1号(通巻578号)>
お前もか仏が冬の匙投げる 粥川 青猿
気苦労は心の荷物秋じまい 江波戸 明
しみじみと十一月の生命線 三浦 斗久舟
煮大根ひとりの刻が暮れてゆく 松原 静子
虎杖の枯れて声なき漁師村 疋田 英子
何にでもなれたあの頃青蜜柑 岡島 貴子
雑音を入れず初霜踏んでみる 大沼惠美子
「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2025年1月号(通巻316号)>
鳶の声ながれ七里ヶ浜小春 大西主計
蜻蛉来てヨクマナベとやアソベとや 高木宇大
繋留の太綱に毳(けば)秋の霜 原和人
水底に十一月の風の翳 朝井はるよ
芝生に寝とんばうの腹見放題 三村凌霄
あの花にしてこの実かと藤咎め 川那辺乃生
ティッシュ引く新たな夜長出てきたり 本松放散
「銀漢」(主宰=伊藤伊那男)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2025年1月号(通巻169号)>
恵方道にも大いなる曲がり角 伊藤伊那男
置き去りの秋思いくつもカフェの椅子 笠原 祐子
秋風をストールに巻き遠野まで 堀江 美州
障子貼る鄙の山河を埋めるやう 宇志やまと
猪運ぶ棒の撓りを誇らしく 三井 康有
出来秋へ赤子も拳突き上ぐる 榊 せい子
水澄みて八咫鏡の淡海かな 住山 春人
「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2024年12月号(通算402号)>
行合の路地に今井の秋惜しむ 吉村征子
銀札に和州の朱印秋深し 井村啓子
燻し牢残る旧家やそぞろ寒 中川晴美
軽やかに木伝ふ空師秋高し 原茂美
さやけしやケサランパサラン舞ふ朝 伊津野均
神橋をわたる色なき風まとひ 上西美枝子
暮れ方の色に溶けゆく吾亦紅 冨士原康子
「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2024年12月号(通算297号)>
花野に去年別れし我と遭ひにけり 小澤實
寿司屋の障子びりびりしそむ山車来れば たが啓子
打ちし蚊を剝がすや老の二の腕より 村戸弥生
フロントガラスの糞草の実を六つふふむ 加納燕
枝豆の莢吸ふ友の欲しき夜を 酒井拓夢
ドアに足挟む押売額の花 新村秀人
洪水や厨鍋浮きカンと鳴る 花岡安佐枝
「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2024年12月号(通巻171号)>
木の実拾ひ森の時間を拾ひけり 藤田直子
子規庵に生を終ふるか秋の蝶 永田満徳
鯉を飼ふ家の小暗き寒露かな 黒澤麻生子
野生馬の山なす糞や天高し 永吉進
名をもたぬ花になりたし律の風 すがはら秋
鹿垣を一つ外して稲を刈る 大野トミ子
人魚棲む海のくらさや流れ星 大塚たみえ
「青山」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2024年12月号(通巻505号)>
満載の喫水深き宝舟 山崎ひさを
飲み干してまあるく玉子酒明かり しなだしん
木木の黙夏の光の中にあり 井越芳子
沖かけて白帆の群や椰子涼し 山本洋子
岩棚に苔の膨らむ滝しぶき 東畑孝子
父の墓寒しまもなく父母の墓 入部美樹
畳替家族の影を新しく 坂東文子
「蒼海」(主宰=堀本裕樹)【2018年創刊・東京都新宿区】
<26号>
母の髪足で撫づるや昼寝の子 大﨑絵美子
アメリカ製水鉄砲に打たれけり 犬星星人
落ちてなほ匍匐前進する蟬よ 国代鶏侍
風鈴市の真中にゐたる眩暈かな 紺乃ひつじ
水に木の精霊映る晩夏かな 加藤ナオミ
さくらんぼまだゐてほしき客人に 福田健太
創業を語る銀歯や夏深し 小谷由果
「鷹俳句会」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2025年1月号>
虫聴く国闘はす国彼我の秋 小川軽舟
落ちさうにおほきな月や発病す 兼城雄
萩活けて衝立の仮名風のごと 黒澤あき緒
末枯や廃墟明るく横たはる 大野潤治
涌き水の音なき水面鶲来ぬ 中島よね子
鶏捌く女のめがね秋高し 岸孝信
朝寒や女を知らぬ洗濯機 松田りょう
「都市」(主宰=中西夕紀)【2008年創刊・東京都町田市】
<2024年4月号(通巻98号)>
山路の先々月に呼ばれけり 中西夕紀
あぶれ蚊の昼を鳴きつぐ自決壕 桜木七海
無患子の音ふたいろに落ちにけり 北杜 青
子供らの囲む地獄絵夏座敷 永井 詩
ゴールデン街の論戦明易し 秋澤夏斗
受付に眉濃き女信長忌 本多 燐
大道芸の演者は日向夏木立 山中あるく
「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2024年11月号(通巻117号)>
冬の鵙攻めの鋭声を矢継早 千々和恵美子
彗星のほのと鰯の一夜干 安倍真理子
秋澄める牧場の牛に「お早よー」 藤井さわこ
やや派手も力や秋の旅衣 森 和子
母と子の時過ぎ易し秋ざくら 芝山義和
すぐ消ゆる噂話や鳥渡る 渡辺味蕾
一人居の一人の灯虫の夜 池内祥晴
「ペガサス」(代表=羽村美和子)【2018年創刊・千葉県千葉市】
<2024年12月号(通巻第21号)>
切り傷に消毒の泡虫時雨 伊藤左知子
海霧深し家族で違う同じ過去 Fよしと
少年と夏草同じ息を吐く きなこ
ノーベル平和賞掘り出す自然薯 坂本眞紅
あきらめてより秋しぐれきらきらす 瀬戸優理子
上がり込んでいます梅雨の猫のまま 浅野文子
白あじさいセシウム今も音もなく 羽村美和子
「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2025年1月号(通巻1537号)>
鉦叩肴にワイン三本目 稲畑廣太郎
露涼し源氏の裔の絵解きかな 涌羅由美
人間は萎れ向日葵伸び上がる 山田佳乃
水遊河原に並ぶ小さき靴 藏本翔
仲直りせし子等に切る西瓜かな 中村恵美
歩みゆく月がきれいと言ふ君と 木村直子
秋日傘さしたまま知る休業日 金子奈緒美
「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
2025年1月号(通巻974号)
蟷螂と眼が合ひし枝切り落とす 澤木恭子
草の花虫は飛び降りても死ねぬ 若林哲哉
針外す母の忙しき鯊日和 桑原規之
返り咲くものの交じれる花野かな 上田窓子
向かひ家も出で揃ひつつ苧殻焚く 崎原 柚
逆立ちのつくつくぼふしより長く 野村茶鳥
穭田を見てゐるコインランドリー 東野礼豊
「濃美」(主宰=渡辺純枝)【2009年創刊・岐阜県岐阜市】
<2025年1月号(通巻190号)>
母在さば明けて百賀やごまめ炒る 渡辺純枝
敬老日いま甘ゆれば今老ゆる 亀山幸助
子ばなれの出来ぬしやうぶん秋海棠 中川富雄
アイロンを広く滑らせ葉月かな 森 はな
踏めば開く花舗の扉や涼新た 白井寿賀
脈を取る身重のナース小鳥来る 弘中よう子
石榴割れ少女こくんと息を呑む 木造朋子
「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2025年1月号>
「いい夫婦の日」ああさうなのと思ふ 橋本喜夫
ここまでは電柱ここからは寒林 中村みずほ
背中から羽化する心地日向ぼこ 籬朱子
全裸とは月光享くるための笥籠(けこ) 安藤由起
残菊の下葉の枯れをそぎおとす 西川良子
桔梗や倭に折紙の文化あり 小泉晃治
鮭の目に選ばれて買ふ朝の市 柊月子
【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年1月31日
*対象は原則として2025年1月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください。
◆配信予定=2025年2月5日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
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