【夏の季語=三夏(5-7月)】夏帽子
直射日光が降り注ぐに夏場においては、「日焼」を防止し、「熱中症」を予防する古典的なアイテムとなる。
軽く丈夫な素材であるパナマ草を用いたパナマハット(「パナマ帽」)や、ポリエステル糸で荒めに編まれた帽子など、通気性のいいものが好まれる。
短縮して「夏帽」とも。
【夏帽子(上五)】
夏帽子より気がつきて顔かたち 深見けん二
夏帽子大きく振りて角曲がる 大角泰子
夏帽子吹かれ吹かれてつひに脱ぐ 岸本尚毅
【夏帽子(中七)】
年々の夏帽子購ひ老いにけり 上野さち子
椅子あれば眠る夏帽子かぶりしまま 森賀まり
【夏帽子(下五)】
松風をうつつに聞くよ夏帽子 芥川龍之介
千年やそよぐ美貌の夏帽子 攝津幸彦
被災地によく売れてゐる夏帽子 西村和子
駅前の一樹に集ふ夏帽子 嶋田麻紀
つなぐ手のほどけて駆けて夏帽子 対馬康子
壁に掛ければ花となり夏帽子 片山由美子
「丹頂チック」の香の失せてゆく夏帽子 櫂未知子
端座して腰の上なる夏帽子 岩田由美
ヨセミテの渓あたらしき夏帽子 仙田洋子
【ほかの季語と】
あたたかく生きて初冬の夏帽子(中村草田男氏) 細見綾子
吹き飛んで野菊にかかる夏帽子 川崎展宏
夏帽子鰻と化けし大暑かな 高橋睦郎