季語・歳時記

【春の季語】鶯餅

【春の季語=初春(2月)】鶯餅

餡を求肥などで包み、丸く包んだものを楕円形にして「」のかたちに模した和菓子。

うぐいす粉(青大豆からできたきな粉)をまぶして仕上げることが多い。


【鶯餅(上五)】
鶯餅つまみどころのありにけり  百合山羽公
鶯餅作りし人のキュービズム  後藤比奈夫
鶯餅鉄路の雨はややしぶく 友岡子郷
鶯餅二つふやして全部買ふ 降旗牛郎
鶯餅かこみて雨にかこまるる 鳥居真里子
鶯餅谷保駅降りてすぐ右の 田口茉於
鶯餅窓より雨後の日のさして 赤松佑紀

【鶯餅(中七)】
老いしかや鶯餅に喉つまり 後藤夜半
街の雨鶯餅がもう出たか 富安風生
からうじて鶯餅のかたちせる 桂信子
美しき冷えをうぐひす餅といふ 岡本眸
飛びたたぬやうに鶯餅はこぶ 鷹羽狩行
湯気立てて鶯餅の生れけり 高畑浩平
雨止んで鶯餅は売り切れに 伊藤伊那男
食べ終へてうぐひす餅と思ひけり 橋本石火
何時の間に鶯餅の向かう向き 細谷ふみを
断はられても贈る鶯餅百個 櫂未知子
てのひらの鶯餅にある愛想 工藤玲音
どんと置く鶯餅に夕日射す 安藤翔

【鶯餅(下五)】

【ほかの季語と】
雪舞ふや鶯餅が口の中 岸本尚毅
草餅に鶯餅の粉がつく 岸本尚毅


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】


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