【秋の季語=仲秋-晩秋(9-10月)】破蓮・敗荷
「蓮」は夏の季語だが、晩秋が近づいてくると、日に日に色褪せて黒っぽくなり、風雨に打たれて朽ちてゆく。
「やれはす」または「やれはちす」と読む。
【破蓮・敗荷(上五)】
破蓮の動くを見てもせりふかな 中村吉右衛門
破蓮や城の残せる門四つ 水原秋櫻子
敗荷の景にふたたびめぐりあひ 石田勝彦
敗荷の水の途方もない明るさ 加倉井秋を
敗荷や夕日が黒き水を刺す 鷲谷七菜子
敗荷のこと考へてばかりをり 今井杏太郎
敗荷に隙間だらけの雨が降る 西村和子
破蓮の裏も表もなく破れ 遠藤若狭男
敗荷となりて水面に立ち上がり 片山由美子
破蓮泥の匂ひの生き生きと 奥村里
破蓮や鳥を誘ふに水もなく 依光陽子
【破蓮・敗荷(中七)】
ふれ合はずして敗荷の音を立て 深見けん二
かの池のかの敗荷よ頬杖よ 池田澄子
【破蓮・敗荷(下五)】
障子あけてすぐ又しめし破蓮 高浜虚子
暮れてゐるおのれ一人か破蓮 松本たかし
【その他の季語と】
鵙音落つ敗荷に日矢の揺ぎかな 大須賀乙字