【秋の季語=晩秋(10月)】夜寒
秋の終わり頃、夜になって寒さを強く感じること。よさむ。
「寒し」は冬の季語となるため、日中はまだそれほどでもないが、というニュアンスが籠る。
【夜寒(上五)】
夜寒かな都のいらか打たるべし 宇多喜代子
夜寒なり手をつけて大学の門 郡司和斗
【夜寒(中七)】
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る 中村汀女
二人子よ夜寒の枕寄せねむり 古沢太穂
あたらしき夜寒の榊鳴りにけり 黒田杏子
【夜寒(下五)】
わたり来し橋をかぞへて夜寒かな 久保田万太郎
つぶやきの身に還りくる夜寒かな 須賀一惠
閘門の照らされてゐる夜寒かな 本井英
備忘録書けば遺書めく夜寒かな まついひろこ
長靴に闇がすつぽりある夜寒 福田若之
【その他の季語と】
夜長とは詠めど夜寒の句なりけり 久保田万太郎