シャワー浴ぶくちびる汚れたる昼は 櫂未知子【季語=シャワー(夏)】

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シャワー浴ぶくちびる汚れたる昼は

櫂未知子


こういうタイプの句を詠むには、生身の自分を少し曝け出す「開き直り」と、それを句に仕立てて「フィクション化」するという二重の手続きが必要だ。もちろん、句としては遊びで(想像で)作った句かもしれないが、世に出て知られるところになると、作者イメージにそれが加わることになる。と書いてきたのは、私がこの「くちびるが汚れる昼」という言葉から、不本意な情事を想像しているからなのだが、実のところは、昼飯にトマトソースのパスタを食べただけかもしれない。しかし、その「どっちつかず」な「思わせぶり」に伴うミステリーが、やはり作者像に加わることは、否定できない。『カムイ』(2017)所収。(堀切克洋)



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