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肩につく影こそばゆし浜日傘 仙田洋子【季語=浜日傘(夏)】

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肩につく影こそばゆし浜日傘 

仙田洋子


肩にちらつく影が「こそばゆく」感じるのは、誰の影だろうか。何やら初々しい恋人どうし、という見方もあるだろうが、おそらくそういう句が作れるのは10代か20代の半ばまでで、しかもその場合はそれほど面白い句ではなく、幸せそうでいいね、で終わってしまう。掲句の影の正体は、おそらく成長中の息子である。それも第二次性徴期にさしかかっているようなお年ごろの。ちょっと近親相姦っぽい「あやうさ」がこの句には感じられるのがいい。と書いてしまったが、この句は実をいうと、〈百年は生きよみどりご春の月〉で知られる作者の「出産前」の句集に収められている。作者の人生を超えたところにある読みもまた、俳句の面白さ。『橋のあなたに』(1991)所収。(堀切克洋)



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