【冬の季語=仲冬(12月)】聖樹
【ミニ解説】
「クリスマスツリー」のこと。
屋外に設置される巨大なツリーが詠まれることも、家庭用の小さなツリーが詠まれることもある。
【聖樹(上五)】
この聖樹銀の大鐘ばかり吊る 山口誓子
聖樹貧しく値切るGlの妻と子が 赤城さかえ
聖樹に根なし炭屋地べたに炭をひく 菖蒲あや
みな聖樹に吊られてをりぬ羽持てど 堀田季何
聖樹の灯一番星に先んじて 井出野浩貴
【聖樹(中七)】
ずり落ちず聖樹に積みし綿雪は 山口誓子
ある窓の聖樹の影も港町 福田蓼汀
祈りもて聖樹に見えぬもの加ふ 田川飛旅子
人混みに聖樹微かに匂ひ立つ 西村和子
窓越しに騒ぐ聖樹となれぬ木々 片山由美子
飾りなき樅の聖樹をまぶしめり 仙田洋子
靴音を揃えて聖樹まで二人 なつはづき
生家遠し聖樹に綿の雪降らせ 町田無鹿
いずれ冷ゆるや聖樹の鈴と天の星 神野紗希
イルカショー終えて聖樹の灯を落とす 神野紗希
【聖樹(下五)】
猫の目に縦に棲みたる聖樹の灯 田川飛旅子
基督に肖る気なき聖樹かな 藤田湘子
偽善者の如銀行の聖樹かな 西村和子
てつぺんの星が傾げる聖樹かな 黛まどか
禁断の木の実もつるす聖樹かな モーレンカンプふゆこ
語彙すべて出払つてをる夜の聖樹 櫂未知子
着ぐるみの首の綻び聖樹の灯 辻内京子
呼吸器と同じコンセントに聖樹 菊池洋勝