【春の季語=三春(2〜4月)】鳥の恋
晩春に繁殖期を迎えた鳥はしきりにさえずり、求愛や交尾をおこないます。
求愛の目立ったものに雄の孔雀がいますね。
古くは「鳥の妻恋」が使われ、「鳥の恋」は比較的新しい季語です。
動詞を交えて「鳥交る」とも。
【鳥の恋(上五)】
鳥の恋峰より落つるこそ恋し 清水径子
鳥の恋諸枝を弾み上りして 八木林之介
鳥の恋いま白髪となる途中 鳥居真里子
鳥の恋本の名を決めかねてゐる 田中裕明
鳥の恋梢をともに移りつつ 岩田由美
鳥の恋漣の生れ続けたる 中田尚子
鳥の恋そのまま河を渡りゆく 明隅礼子
【鳥の恋(中七)】
【鳥の恋(下五)】
両神は高みむすびや鳥の恋 安西篤
鬼瓦暾にまぶしみて鳥の恋 広坂圭美
太陽は古くて立派鳥の恋 池田澄子
金箔がケーキに少し鳥の恋 蜂谷一人
あり余る有給休暇鳥の恋 広渡敬雄
手のばせば脇かがやきぬ鳥の恋 高山れおな
さざなみのかがやけるとき鳥の恋 北川美美
風呂敷につつむ額縁鳥の恋 田中裕明
暗幕の向う明るし鳥の恋 田中裕明
聖母像さしのべる手に鳥の恋 谷口いづみ
六本木ヒルズ上空鳥の恋 浦川聡子
少年の額あかるし鳥の恋 涼野海音
昼眠るため文ひらく鳥の恋 生駒大祐
【その他】
カルメラのふくれて恋の雀かな 村田小夜子
やはらぎし水面に鳥の恋育つ 小長谷登茂子
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】