【冬の季語】夕霧忌

【冬の季語=晩冬(1月)】夕霧忌

大坂・新町の扇屋の遊女・夕霧太夫(ゆうぎりたゆう)の1678年(延宝6年)の忌日。

旧暦の1月6日である。

名妓として知られ、大坂中がその死を悼んだという。死後、夕霧と愛人・藤屋伊左衛門を主人公とする浄瑠璃・歌舞伎などの作品が多く作られ、それらは「夕霧伊左衛門」または「夕霧」と総称された。近松門左衛門の浄瑠璃『夕霧阿波鳴渡』を始めとして、浄瑠璃の『廓文章』、歌舞伎の『夕霧名残の正月』『夕霧七年忌』などがある。

若くして病没した彼女は嵯峨野生まれと伝えられ、京都の清凉寺の北側に墓地が作られた。毎年11月第2日曜日に清涼寺では「夕霧供養祭」が催され、本堂での法要、島原太夫による奉納舞、太夫道中や墓参が行われる。


【夕霧忌(上五)】
夕霧忌昔はもののやさしかり 後藤比奈夫

【夕霧忌(中七)】

【夕霧忌(下五)】
炭の香のはげしかりけり夕霧忌 日野草城
道頓堀に赤き芥や夕霧忌 宇咲冬男
雪しみの木橋をひとつ夕霧忌 鷲谷七菜子
汲み上げてこぼす水音夕霧忌 須佐弥寿呼
ままならぬ恋もありけり夕霧忌 角川春樹
忽然と昭和をはりぬ夕霧忌 森竹須美子
札(さつ)で面(つら)張る奴等の街の夕霧忌 竹岡一郎


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