冬の季語

【冬の季語】悴む

【冬の季語=三冬(11月〜1月)】悴む

「寒さ」で、手足が冷たくなり、思うように動かなくなること。


【悴む(上五)】
悴める手は憎しみに震へをり 高浜虚子
悴みてよめる句に季のなかりけり 久保田万太郎
かじかみて脚抱き寝るか毛もの等も 橋本多佳子
悴む手銃の重さを記憶せり 千代田葛彦
悴みて憤(むづ)けば不愍笑めばなほ 川口重美
悴みて乗つたる石のぐらりとす 大石悦子
悴める掌を包みやり諭しけり 西村和子
悴みて囚徒に髪を刈られけり 角川春樹
悴みて見上ぐる塔の高さかな 片山由美子
悴むを羽化のはじまる心地とも 青山茂根
悴みて水源はときじくの碧 安里琉太

【悴む(中七)】
飴なめて流離悴むこともなし 加藤楸邨
膝の上の悴む手では嘘は云へぬ 岸田稚魚
水底の文字悴まず虹の石 後藤比奈夫
首塚へ悴む両手合はせけり 三井康有
怯へしか悴みゐしか手をとれば 野中亮介
人恋うて肺の悴む音すなり 西澤みず季
そこかしこシーニュ悴むほどシーニュ 小津夜景

【悴む(下五)】
すぐ泣く子今泣きさうに悴みて 京極杞陽 
心中に火の玉を抱き悴めり 三橋鷹女
石人に石馬に手やり悴みぬ 皆吉爽雨
かんがふる頬杖の手のかぢかみて 能村登四郎
霊柩車他郷に送り悴める 宮坂静生
白鳥になりたきひとと悴めり 仙田洋子
兵馬俑見つめてをれば悴かめり 野木桃花
サーカスに売られし犬と悴めり 岡田一実


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