【夏の季語】孑孑

【夏の季語=三夏(5-7月)】孑孑

」の幼虫。水たまりに発生する。

細長く、はねるようにしながら水中を泳ぎ、尾の方にある管で空気を呼吸する。ぼうふり(棒振)。

孑孑の振や金魚の鼻の先〉(俳諧・俳諧古選・1763)など、18世紀より夏の風物として詠まれてきた。一茶には〈孑孑や日にいく度のうきしづみ〉。


【孑孑(上五)】
孑孑や松葉の沈む手水鉢  正岡子規
孑孑のどこまで振れば天の上 平井照敏
ぼうふらをのめす水面や修験山 落合水尾
孑孑の頭大きく晴れにけり 奥坂まや
孑孑の地蔵の水の他知らず 山尾玉藻
孑孑のかがやく尻を水のうへ 高田正子
孑孑を覗く愚かな貌映る 齋藤朗笛

【孑孑(中七)】
水底へ逃ぐ孑孑の棒振つて 右城暮石
からつぽの水ぼうふらのゐずなりぬ 佐々木六戈
吸殻が浮いてぞ孑孑生きてをり 岸本尚毅
血の記憶ありさうな孑孑ばかり 鈴木総史

【孑孑(下五)】

【自由律】
ぼうふら蚊となるはかない夕ベのおのれで見てゐる 人間を彫る 大橋裸木

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