【夏の季語=晩夏(7月)】赤富士
赤富士(あかふじ)とは、普段は青っぽく見える富士山が、主に「晩夏」から「初秋」にかけての早朝に、雲や「霧」と朝日との関係から赤く染まって見える現象をいう。葛飾北斎は、天保2年(1831年)に『富嶽三十六景』のひとつとして、「凱風快晴」と題する赤富士を描いていることで有名。明治以降もしばしば画壇の材料となってきた。
【赤富士(上五)】
赤富士のぬうつと近き面構ヘ 富安風生
赤富士にかつとをんなの内側を 河野多希女
赤富士も見せたし紺の夕富士も 深川正一郎
赤富士や不二も不一も殴り書き 高柳重信
赤富士のやがて人語を許しけり 鈴木貞雄
赤富士を仰ぐは先師仰ぐなる 行方克巳
【赤富士(中七)】
【赤富士(下五)】
【その他の季語と】
秋かやを出て赤富士を目のあたり 久米正雄
初富士の赤富士なりしめでたさよ 大橋越央子
頂きが少し赤富士雁の声 井本農一