【夏の季語=晩夏(7月)】蜜豆
夏の暑い時期に好まれる甘味のひとつ。
ゆでた赤エンドウマメ、さいの目に切った寒天、求肥、白玉だんご、ミカンやモモなどのフルーツ(シロップ漬けされた缶詰を使うことが一般的)などを器に盛って、黒蜜や糖蜜(もしくはシロップ)をかけたもの。1903年(明治36年)に浅草の「舟和」が売り出したものが最初と言われる。舟和はみつまめを当時流行していた「ビヤホール」「ミルクホール」にあやかった「みつ豆ホール」と名付けた西洋風喫茶で売り出し、大人向けの甘味として好評を博した。
「あんみつ」は、みつまめに餡を乗せたもので、1930年(昭和5年)には銀座のお汁粉屋「若松」が発売した。
今では盛り合わせる具によって数多くの種類がある。
【蜜豆(上五)】
蜜豆の寒天の稜の涼しさよ 山口青邨
みつ豆はジャズのごとくに美しき 國弘賢治
ミツ豆やときどきふつと浮くゑくぼ 杉本零
蜜豆は豪華に豆の数少な 川崎展宏
蜜豆や母の着物のよき匂ひ 平石和美
蜜豆や話す前から笑ひをる 柘植史子
蜜豆にマンゴー信教の自由 神野紗希
【蜜豆(中七)】
缶詰の蜜豆開ける書斎かな 下山田禮子
【蜜豆(下五)】
【その他の季語と】
秋かやを出て赤富士を目のあたり 久米正雄
初富士の赤富士なりしめでたさよ 大橋越央子
頂きが少し赤富士雁の声 井本農一