
【春の季語=晩春(4月)】桜餅
桜の葉で餅菓子を包んだもの。一般に「桜餅」と呼称されるものには、関東地方で考案されて東日本を中心に広まった関東風(左)と、関西地方で考案され全国に広まった関西風(右)の2種類が存在する。


通年で売られている和菓子だが、名称にもあるとおり食紅で桜をイメージさせるピンク色に着色していることもあり、今日では雛祭りに欠かせない菓子のひとつとして定着している。
【桜餅(上五)】
さくら餅食ふやみやこのぬくき雨 飯田蛇笏
桜餅闇のかなたの河明り 石田波郷
桜餅空際にほひ立つ日暮れ 平井照敏
桜餅となりに暗き部屋ありぬ 鈴木鷹夫
桜餅はらからの眉みな垂れて 宇多喜代子
桜餅今日さざ波の美しく 大木あまり
さくら餅聖書をめくる手は別に 大内セイ子
桜餅雨のとびつく硝子窓 片山由美子
さくら餅たちまち人に戻りけり 渋川京子
桜餅大人の話聞いてゐる 柏柳明子
桜餅ひとくちワンピースの真砂女 神野紗希
【桜餅(中七)】
本郷に桜餅買ふ喪の帰り 沢木欣一
からつぽのにほへる桜餅の箱 長谷川櫂
【桜餅(下五)】
夜着いて花の噂やさくら餅 關圭草
うかれたる心も少し桜餅 星野立子
とりわくるときの香もこそ桜餅 久保田万太郎
葉のぬれてゐるいとしさや桜餅 久保田万太郎
啄木の町は教師が多し桜餅 寺山修司
山裾に大きな鐘や桜餅 宇佐美魚目
さくらより少し色濃し桜餅 森澄雄
取り分くるとても二人や桜餅 深見けん二
の日はものみな遠く桜餅 鷹羽狩行
老人の歯ぐきを使ふさくら餅 大木あまり
来るはずの人来ぬままに桜餅 片山由美子
雨の日の午後しづかなる桜餅 片山由美子
千年をころがる母や桜餅 外山一機
【その他の季語と】
遊園の春とゝのひぬ桜餅 水原秋櫻子