あがなかのあたしあやめしあやめかな 堀田季何【季語=あやめ(夏)】


あがなかのあたしあやめしあやめかな
堀田季何
(『楽園』第二巻第三号)

季語のあやめを、私は〈花あやめ〉として読んだ。
ひらがなの掲句に、漢字をあててみる。
〈吾が中のあたし殺めしあやめかな〉
わたしの中の「あたし」を殺めたのはあやめである、と取った。
〈吾〉――〈わたし〉の中には、「あたし」が棲んでいる。「あたし」は、ときに〈吾〉を脅かすことがある。無きものにしたいと思うこともあるだろう。
自分を消したいと願うのもまた、自分なのである。
ここではその役を、あやめが引き受けてくれる。
「あやめかな」の余韻により、「あたし」は裁かれたのではなく、赦されたのではないか、とすら思えてくるのである。

いなば也


【執筆者プロフィール】
いなば也(いなば・なり)
短詩、俳句 
楽園俳句会会員
X:@poet_Shijyu
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mail:inabanary@gmail.com



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