シゴハイ【第4回】中井汰浪(「浪乃音酒造」蔵元)


【俳人ロングインタビュー】
第4回

中井汰浪(「浪乃音酒造」蔵元・俳人)

セクト・ポクリットの新企画「シゴハイ【仕事×俳句】」は、世にもめずらしい表稼業をもたれている俳人に、俳句の話を差し置いて、本職のお仕事について伺ってみちゃうコーナーです。【第4回】は、滋賀県・堅田にある「浪乃音酒造」蔵元で「ホトトギス」同人の中井汰浪さん。日本酒の世界のみならず、これからのサッカー界を背負って立つ中井卓大選手(汰浪さんの三男)についてもお話をお伺いしました。


「浪乃音酒造」は俳句一族

――このコーナーはお仕事の話を最初に聞くのが通例なんですけども、汰浪さんは俳句一家という噂をお聞きしましたので、今回は特別に俳句の話から伺わせてください。

中井 うちは祖父と祖母が俳句をやっていたんですね。祖父は「ホトトギス」の虚子同人で、余花朗(よかろう)という俳号でした。うちの父親は中井國雄というのが本名なんですけど、季語でもある「(かいつぶり)」を使って、句鳰(くにお)という俳号でやっていました。

――面白い俳号ですね。

中井 母親は康子って本名でやってるんですけど、ぼくは汰浪という名前で、妻がはな湖という俳号をつけました。漫才師みたいでおもろいかなと(笑)

「浪乃音酒造」蔵元の中井汰浪さん。とてもほがらかな方。

――俳号はご自分でつけられたんですか?

中井 そうですね。琵琶湖の近くに住んでるんで、さんずいの漢字を入れようということで。

――酒蔵にして俳句一家とは。

中井 うちの叔母もやってますしね。未央(びおう)」という結社の主宰をやっています。

――古賀しぐれさんですね。

中井 最近は長男夫婦も乗り気になってきて、去年の夏は妻たちもスペインから帰ってきていたので、しぐれとオンラインで俳句会をやったんです。長男は研修先の福島から、うちは堅田、しぐれは奈良で、しぐれの娘は東京から弟のお嫁さんも入って、みんなでLINEで句会をやりました。

――家族句会、楽しそうです。

中井 ただ俳誌に投句とかまでしてるのは、ぼくだけですね。家内もやっていたんですが、もうスペインに8年行ってますんで。

――「浪乃音酒造」は、ご兄弟3人で酒蔵をされているとのことですが、弟さんたちは俳句はされないんですか?

中井 そうなんです。昔からやったらどうやと言ったりはしてたんですが、無理やりやらすことはなかったもんで。こないだ家族句会をやったときも、娘だけは頑なにやらへんかったんです(笑)

中井余花朗さんの句集『浪の音』(左)とその奥様・中井冨佐女さんの句集『湖畔抄』(右)

――お子さんは3人いらっしゃるんですか? 酒蔵を継ぐために修行に出ているのが、ご長男でしたよね。

中井 4人です。長男は27歳。福島県の「天明」さんという酒蔵に修行に行っていて、いまもう4年目なんですけど、今年の6月末に戻ってくる予定です。そして長女が24歳。スペインで学校の先生をしてるんです。スペイン人に日本語を教えています。

――すごいですね。いつから行かれているんですか?

中井 高校を卒業してすぐなのでもう5年くらい行ってますね。就労ビザもとってばりばり働いてます。そんで次男は去年大学卒業して、Jリーグ行きたがってたんですけど、声かからへんかったんで、スペインでチームを探すと言うて渡りました。桐蔭横浜大学いうところで準優勝まで行ったんですけど。今年の夏が勝負ですね。

――それで三男が「ピピくん」こと、レアル・マドリードの中井卓大(たくひろ)選手なんですよね。

中井 ええ。ピピは、スペイン行ってもう8年目になりますね。

関連記事