季語・歳時記

【夏の季語】ががんぼ/蚊の姥

【解説】蚊に似ているが、蚊よりも大きく、手脚が長い。それほど速く飛ぶわけでもなく、死骸はつつけばバラバラになってしまうほど貧弱。一般的には「大蚊」という漢字を当てるが、俳句では、ひらがな表記が一般的。「蚊の姥(うば)」と呼ぶことも。

【関連季語】蚊、蚊遣火、蝙蝠など。

【ががんぼ】
障子打つががんぼにさへ旅心      高濱虚子
ががんぼの意志の脚まで伝はらず    後藤比奈夫
ががんぼの脚の揃つてゐる不安     後藤比奈夫
ががんぼ打つ影のいのちのまた来るを  野澤節子
寺にゐてががんぼとすぐ仲良しに    波多野爽波
神々に絶えず呼ばれてががんぼは    藤田湘子
ががんぼを厨に残しフランスへ     塩谷康子
ががんぼの気持ちを百字で述べなさい  静 誠司
ががんぼのぶつかりさうな中華鍋    西村麒麟

【蚊の姥】
蚊の姥の名こそよけれと見おくりぬ   飯島晴子
蚊の姥の竹生島より来りしか     星野麥丘人

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 【夏の季語】空蟬/蟬の殻 蟬の抜殻
  2. 【夏の季語】向日葵
  3. 【春の季語】春寒
  4. 【冬の季語】毛糸
  5. 【夏の季語】涼し
  6. 【秋の季語】小鳥来る
  7. 【秋の季語】鶏頭/鶏頭花
  8. 【冬の季語】狐

おすすめ記事

  1. つぶやきの身に還りくる夜寒かな 須賀一惠【季語=夜寒(秋)】
  2. 俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第47回】 房総・鹿野山と渡辺水巴
  3. 天高し男をおいてゆく女 山口昭男【季語=天高し(秋)】
  4. 秋海棠西瓜の色に咲にけり 松尾芭蕉【季語=秋海棠(秋)】
  5. 一天の玉虫光り羽子日和 清崎敏郎【季語=羽子板(新年)】
  6. 水仙や古鏡の如く花をかかぐ 松本たかし【季語=水仙(冬)】
  7. 八月は常なる月ぞ耐へしのべ 八田木枯【季語=八月(秋)】
  8. あり余る有給休暇鳥の恋 広渡敬雄【季語=鳥の恋(春)】
  9. 【クラファン目標達成記念!】神保町に銀漢亭があったころリターンズ【14】/野村茶鳥(屋根裏バル鱗kokera店主)
  10. 蟷螂の怒りまろびて掃かれけり 田中王城【季語=蟷螂(秋)】

Pickup記事

  1. 秋風や眼中のもの皆俳句 高浜虚子【季語=秋風(秋)】
  2. 【新企画】コンゲツノハイク(2021年1月)
  3. 五十なほ待つ心あり髪洗ふ 大石悦子【季語=髪洗ふ(夏)】
  4. 寝化粧の鏡にポインセチア燃ゆ 小路智壽子【季語=ポインセチア(冬)】
  5. 【秋の季語】茸(菌)
  6. 麦秋や光なき海平らけく 上村占魚【季語=麦秋(夏)】
  7. 影ひとつくださいといふ雪女 恩田侑布子【季語=雪女(冬)】
  8. 鶯や米原の町濡れやすく 加藤喜代子【季語=鶯(春)】
  9. 神保町に銀漢亭があったころ【第66回】阪西敦子
  10. 山茶花の日々の落花を霜に掃く 瀧本水鳴【季語=山茶花(冬)】
PAGE TOP