季語・歳時記

【秋の季語】松茸

【秋の季語=晩秋(10月)】松茸

【解説】こちらがみなさんご存知の、マツタケです。

赤松林によく生えます。インスタにはそれほど映えません。

おなじみのレシピは、「マツタケごはん」「マツタケの土瓶蒸し」、あるいは七輪であぶって食べてもOK!

香りが命の松茸は、焼くときも煮るときも火を加えすぎないのがポイント。

石づきは土のついた部分だけを削り取り、乾くと香りがなくなるので濡れ布巾かけておくと良いそうです。

ちなみに、松茸の最盛期は10月5日~20日頃とのこと。

正岡子規が、〈松茸ヤ思ヒ出デタル古人ノ句〉と晩年に詠んでいるように、芭蕉の時代から詠まれつづけてきた秋の味覚です。

【関連季語】茸、占地、秋の山、山粧ふ、など。


【松茸(上五)】
まつ茸やしらぬ木の葉のへばりつく  芭蕉
松茸やかぶれた程は松の形  芭蕉
松茸や人にとらるゝ鼻の先  去来
松茸や都に近き山の形  惟然
松茸の香りも人によりてこそ 高浜虚子
松茸を白象様へお福分け 高木晴子
松茸の笠にのせたる結び文 阿波野青畝
松茸は皇帝栗は近衛兵 阿波野青畝
松茸の刃物いやがり水きらふ 右城暮石
松茸飯ふつふつものを書きつつたのし 山口青邨
松茸の糶の円陣おとなしく 鈴木真砂女
松茸の椀のつつつと動きけり 鈴木鷹夫
松茸といへばいへさう恐ろしさ 稲畑汀子
松茸飯美濃路の別れ明るうす  鍵和田秞子
松茸をこれほど採つて不作とは 茨木和生
松茸飯生家の山の匂ひして 山本猛
松茸は京の荒砂こぼしけり 長谷川櫂
松茸飯炊けたりと告げ拡声器 野崎海芋

【松茸(中七)】
虚子を待つ松茸鮓や酒二合 正岡子規
釜で出す松茸飯や客の中 内藤鳴雪
二三日晴れ松茸の膳に上る 臼田亜浪
取敢へず松茸飯を焚くとせん 高濱虚子
肉鍋や松茸白く介在す 日野草城
ことしより早松茸にそゝぐ泪かな 久保田万太郎
紙のごとき松茸椀に旅なかば 中山純子
躊躇なく焼松茸として喰らふ 板谷芳浄
病み抜けし夫へ松茸飯を炊く 曽我部多美子
ややありて松茸もつていけといふ 早川志津子
金屏風松茸鍋にくもりけり 山田弘子

【松茸(下五)】


【その他】
山廬忌の松茸飯となりにけり 上田五千石


→ 「土瓶蒸」の例句はこちら(作成中)



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