冬の季語

【冬の季語】寒い

【冬の季語=初冬〜晩冬(11月〜1月)】寒い

冬の季語でもある形容詞「寒し」の日常的な言い回し。

俵万智に〈「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ〉という有名な歌がある。


【寒い(上五)】
寒いぞよ軒の蜩唐がらし 小林一茶
寒いかと問へばうなづきシルエツト 京極杞陽
ただ寒い川が傷兵の眼に奔る 三谷昭
寒いからみんなが凛々しかりにけり 後藤比奈夫
寒いはずなり鴨千羽ゐる上野 鈴木鷹夫
寒いねと彼は煙草に火を点ける 正木ゆう子

【寒い(中七)】
七輪に寒い焔の翅相住ひ 辻田克巳
サラリーマン寒いね東スポ大切に 清水哲男
婆の言ふ寒い寒いは唄ふごと 今瀬剛一
なかぞらに寒い木があり光りだす 柿本多映
たてがみが寒いと女ただよえり 岸本マチ子

【寒い(下五)】
主よ人は木の髄を切る寒い朝 成田千空
倒れるまでタイヤ転がる寒い空港 三橋敏雄
あとからあとから月の出寒い波頭 鈴木六林男
七生の人形のとき寒いとき 池田澄子
口紅つかう気力体力 寒いわ 池田澄子

【自由律】
うごけば、寒い 橋本夢道
五圓着いたと兵隊の弟から寒いたよりが来た 橋本夢道
二階から足がおりてくる寒い顔になる 栗林一石路
もう堤が焼かれている 寒い天気図のように 吉岡禅寺洞

【その他の季語と】
あゝ寒いあらあら寒いひがん哉 小林一茶
受験子の寒い寒いと言ひ小さし 今瀬剛一


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 【春の季語】朧月
  2. 【春の季語】春の塵
  3. 【夏の季語】河童忌/我鬼忌 龍之介忌
  4. 【夏の季語】盛夏/夏旺ん 真夏
  5. 【夏の季語】桐の花
  6. 【秋の季語】秋気
  7. 【春の季語】杉の花
  8. 【春の季語】鴨引く

おすすめ記事

  1. 逢へば短日人しれず得ししづけさも 野澤節子【季語=短日(冬)】
  2. たべ飽きてとんとん歩く鴉の子 高野素十【季語=鴉の子(夏)】
  3. 【夏の季語】蟻
  4. 扇子低く使ひぬ夫に女秘書 藤田直子【季語=扇子(夏)】
  5. 【冬の季語】毛糸
  6. 【特別寄稿】「写生」──《メドゥーサ》の「驚き」 岡田一実
  7. 綿入が似合う淋しいけど似合う 大庭紫逢【季語=綿入(冬)】
  8. 【冬の季語】八手咲く
  9. 紅さして尾花の下の思ひ草 深谷雄大【季語=思ひ草(秋)】
  10. また次の薪を火が抱き星月夜 吉田哲二【季語=星月夜(秋)】

Pickup記事

  1. 目つぶりて春を耳嚙む処女同志 高篤三【季語=春(春)】
  2. 初島へ大つごもりの水脈を引く 星野椿【季語=大つごもり(冬)】
  3. 秋日澄み樹のいろ拾ひつづけたる 井越芳子【季語=秋日(秋)】
  4. 神保町に銀漢亭があったころ【第36回】内村恭子
  5. 【#40】「山口誓子「汽罐車」連作の学術研究とモンタージュ映画」の続き
  6. 【冬の季語】クリスマスツリー
  7. 昼酒に喉焼く天皇誕生日 石川桂郎【季語=天皇誕生日(春)】
  8. 【秋の季語】林檎
  9. 樹も草もしづかにて梅雨はじまりぬ 日野草城【季語=梅雨入(夏)】
  10. 廃墟春日首なきイエス胴なき使徒 野見山朱鳥【季語=春日(春)】
PAGE TOP