神保町に銀漢亭があったころ【第126回】坪井研治


エピソード

坪井研治(「銀漢」同人)


銀漢亭には開店以来お世話になった。特筆すべきことはと頭を巡らせても、鯨飲馬食で売り上げに貢献する以外能はなかった。

そんな中でエピソード言えばエピソードがあった。

若干回りくどいがお話しする。

家内の友人夫妻との酒席で何故か俳句が話題になった。とりとめもない話ではあったが、後日神保町にある「俳句酒場」にご案内するとして話は終わった。

数か月後、旦那様のみを件の「俳句酒場・銀漢亭」にご案内することとなった。

開店間際の客が疎らなタイミングで伊藤主宰に紹介することができた。お互いに名乗りビールで乾杯。お客が徐々に増えてきたのでその後は二人でとりとめもない話で酒杯を重ねた。やがて、つまみも一巡し、主宰が我々(入口の二席)と話を始めてくれた。

そこでは「同世代・同出身校・同学年・同学部・同学科」「なんと同クラス」つまり大学一・二年のクラスメートであることまで判明した。が、そこまで。

お互いに顔を見あっても何らの進展がなく数刻。

「奥さん同級生だったよね」

小生の一言が事態を急転させた友人が奥様の氏名を口に出すと、主宰が「よく覚えている」。これで第三者の入り込めない昔話となり、小生の使命は完遂されたのだ。芋焼酎を一本追加したことまでは記憶にある。

友人もその後俳句に興味を示し、今や「銀漢」の有力同人として活躍されている。


【執筆者プロフィール】
坪井研治(つぼい・けんじ)
「銀漢」同人。



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