冬の季語

【冬の季語】白菜

【冬の季語=三冬(11月〜1月)】白菜

【ミニ解説】

明治時代に中国から渡来した、冬野菜の代表的なもの。

漬物、煮物、鍋物には欠かせない。


【白菜(上五)】
白菜の孤独 太陽を見送つている 吉岡禅寺洞
白菜の一枚づつの白さの差 阿波野青畝
白菜やところどころに人の恩 阿部完市
白菜洗ふ死とは無縁の顔をして 寺田京子
白菜かかへみやこのなかは曇なり 飯島晴子
白菜に体温移る抱きごころ 鳥居おさむ
白菜を洗ふ双手は櫂の冷え 大木あまり
白菜を翼はづせるごとく剥く 宮坂静生
白菜のうちがわにいるお母さん 小枝恵美子
白菜を山積みにして富士隠す 能村研三
白菜の断面桂信子の死 八田木枯
白菜が祖母抱きしめて透きとおる 田島健一
白菜を載せてベニアのべこと鳴る 津久井健之
白菜を真二つにして優しい人 田邊大学

【白菜(中七)】
年末もちかい 白菜きりみだしてある 吉岡禅寺洞
洗ひ上げ白菜も妻もかがやけり 能村登四郎
閻王が斎の白菜ひた白し 藤田湘子
さすらえば白菜ゆるく巻かれている 田口満代子
さりながら保留白菜透き通る 櫂未知子
ブレーカー落つ白菜は食べごろに 黄土眠兎 
古本の脇に白菜積まれけり 相沢文子

【白菜(下五)】
街灯のしたでひといき白菜と 藤田俊
夜空吸ひこみ嵩張るんよ白菜 小川楓子


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 【新年の季語】歌かるた(歌がるた)
  2. 【秋の季語】月
  3. 【新年の季語】歌留多
  4. 【冬の季語】冬に入る
  5. 【冬の季語】師走
  6. 【冬の季語】探梅行
  7. 【秋の季語】八月
  8. 【冬の季語】息白し

おすすめ記事

  1. 神保町に銀漢亭があったころ【第8回】鈴木てる緒
  2. 鴨翔つてみづの輪ふたつ交はりぬ 三島ゆかり【季語=鴨(冬)】
  3. 糸電話古人の秋につながりぬ 攝津幸彦【季語=秋(秋)】
  4. 波冴ゆる流木立たん立たんとす 山口草堂【季語=冴ゆ(冬)】
  5. 【連載】歳時記のトリセツ(13)/関悦史さん
  6. 【読者参加型】コンゲツノハイクを読む【2021年12月分】
  7. 【冬の季語】夕霧忌
  8. 松山藩主松平定行公と東野、高浜虚子や今井つる女が訪れた茶屋について(3)
  9. 茅舎忌の猛暑ひきずり草田男忌 竹中宏【季語=草田男忌(夏)】
  10. かくも濃き桜吹雪に覚えなし 飯島晴子【季語=桜吹雪(春)】

Pickup記事

  1. 昼顔の見えるひるすぎぽるとがる 加藤郁乎【季語=昼顔(夏)】
  2. 一瞬で耳かきを吸う掃除機を見てしまってからの長い夜 公木正
  3. 来て見れば来てよかりしよ梅椿 星野立子【季語=梅・椿(春)】
  4. 【第24回】新しい短歌をさがして/服部崇
  5. 【冬の季語】マフラー
  6. 【秋の季語】ハロウィン/ハロウィーン
  7. 高梁折れて頬を打つあり鶉追ふ      三溝沙美【季語=鶉(秋)】
  8. 【短期連載】茶道と俳句 井上泰至【第3回】
  9. 太る妻よ派手な夏着は捨てちまへ ねじめ正也【季語=夏着(夏)】
  10. 古池やにとんだ蛙で蜘蛛るTELかな 加藤郁乎
PAGE TOP