夏の季語

【夏の季語】昼寝

【夏の季語=三夏(5月〜7月)】昼寝

夏は疲労も溜まりやすく、また暑い中での仕事や家事はつらいので、つい仮眠をとって休息したくなる。あるいは、気づけば寝ている、ということもある。短眠であるがゆえに夢を見やすく、現実からふっと遊離する面白さもある。俳句では、昼寝から覚めることを「昼寝覚」、昼寝をしている人を「昼寝人」とも呼ぶ。

午後に寝ることから「午睡」とも。三尺寝とは大工などが、仕事場の狭いスペースで昼寝をすること(日陰が三尺ほど移る間眠るからという説もある)。

旧字体は「晝寐」。


【昼寝(上五)】
昼寝猫袋の如く落ちてをり 上野泰
昼寝よりさめて寝ている者を見る 鈴木六林男
昼寝してゆくべきところまで行きぬ 八田木枯
昼寝より覚めしところが現住所  八田木枯
昼寝などしてをればひと来りけり 今井杏太郎
昼寝するつもりがケーキ焼くことに 稲畑汀子

【昼寝(中七)】
さみしさの昼寝の腕の置きどころ 上村占魚
赤んぼころがり昼寝の漁婦に試射砲音 古沢太穂
をさなくて昼寝の國の人となる 田中裕明
夕飯よけふは昼寝をせぬままに 木村定生
園児どち昼寝の国も駆けまはる 木内縉太

【昼寝(下五)】
野に蜜のあふれて村のひるねどき 桂信子
人恋ひてかなしきときを昼寝かな 高柳重信
山に金太郎野に金次郎予は昼寢 三橋敏雄
腸捻転元に戻してから昼寝 西村麒麟
こんなにも猫あんなにも猫昼寝 木田智美



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