【夏の季語(仲夏=6月)】蛍火
「蛍」の出す光。
「蛍火忌」が飯島晴子の忌日であることが記されていた。
【蛍火(上五)】
螢火や疾風のごとき母の脈 石田波郷
蛍火や飯盛女飯を盛る 山口青邨
螢火へ言わんとしたら湿って何も出なかった 平田修
【蛍火(中七)】
わが息の合ひて螢火明滅す 鷲谷七菜子
天翔くる螢火かつて有馬領 堀口星眠
刻ほろびゆく蛍火の点るたび 佐藤国夫
より強き蛍火となり逃れたる 岡本 眸
さつきから螢火中りして頭痛 鳥居真里子
【蛍火(下五)】
はかなさはいづれ衣の香と蛍火と 桂信子
おのづから籠の形を螢火は 鷹羽狩行
【その他】
蛍火におぼるるごとし桜桃忌 石川桂郎
ある筈もなき螢火の蚊帳の中 斎藤玄