【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年11月】


前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から推薦句を送っていただき、一覧として掲出するコーナーです。毎月、募集していますので、ご協力いただける俳誌・結社があれば、このページをご覧ください。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。

また、このページの掲出句から、読者の皆さんの「推しの一句」(未来の名句となるかも)を選んでご鑑賞いただく読者参加型「コンゲツノハイクを読む」、11月20日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。絶賛お待ちしてます!


コンゲツノハイク 2025年11月
(2025年10月刊行分)

今月の参加結社☞「秋草」「いには」「伊吹嶺」「炎環」「円虹」「海原」「火星」「かつらぎ」「樺の芽」「河」「麒麟」「銀化」「銀漢」「雲の峰」「澤」「秋麗」「青山」「蒼海」「鷹」「天穹」「都市」「南風」「鳰の子」「noi」「濃美」「ふよう」「ホトトギス」「街」「楽園」「雪華」


「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2025年11月号(通巻191号)>
月の道真水のやうな明るさに 山口昭男
ふくらんでひとすぢとなる門火かな 対中いずみ
秋雨を女人の傘に聞いてをり 水上ゆめ
はんざきの動き時間の動きだす 松田晴貴
枝豆の皿の一等あかるくて 舘野まひろ
天の川のやうな消印旅終はる 高木宇大
障子より手が出て人を呼んでをり 鬼頭孝幸


「いには」(主宰=村上喜代子)【2005年創刊・千葉県八千代市】
<2025年11月号(通巻206号)>
月の蝕その夜をうつらうつらとす 村上喜代子
秋の金魚介護ベッドの跡残り 吉永寿美子
夜半の秋心のメンテナンスして 佐藤美智子
向日葵はかつて住みゐし人の数 澤田 穣
友の腕被爆の傷と知りし夏 岡山禮子


「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2025年11月号(通巻第329号)>
水底の砂流れをる月夜かな 河原地英武
土竜叩きめく噴水のはたと止む 栗田やすし
カナリアの籠を抱へて生身魂 加藤剛司
白墨のバキと折れたり夏期講座 野村和甚
掃きよせてみたき薄雲今朝の秋 渡邉久美子
甜瓜十円玉で種を取り 斎藤みどり
涼しさやモデルハウスの白き皿 田中のびる


「炎環」(主宰=石寒太)【1989年創刊・埼玉県志木市】
<2025年10月号(通巻544号)>
父へひとつ母にふたつの螢かな 石寒太
鈴ひとつ夜のねぶたの桟敷席 北原いつな
プールサイドの母をプールの底より見 百瀬一兎
遺伝子分子標的治療大暑 市ノ瀬遙
注文のトイレ専用扇風機 伊藤航
茄子の花赤茄子の花朝曇 丑山霞外
読みさしの「海と毒薬」熱帯夜 常盤優


「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<令和7年10月号 第371号>
あの頃の時間ゆつくり赤のまま  涌羅由美
はじまりは低くしづかに蟬時雨  木村恭子
将来のアスリートゐる水遊  三好ようこ
耳元に髪切る音や秋涼し  西川とし子
遠花火絵本のページめくる8ごと  能網陽子
仏前の輪の中心は生身魂  中田弥生
夕暮れの町の色して夏蜜柑  溝畑稔子


「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2025年10月号(第72号)>
レースのカーテンくらいの責任感 大池桜子
やわらかな針金伸びる昭和の日 桂凜火
紫陽花にまぎれてひとり欠勤す 木村寛伸
ラムネから草間彌生が出るわでるわ 黒岡洋子
雲ひとつ売却済みの夏野原 小林文子
モナリザと呼ばれし非行少女の夏 佐竹佐介
忍路路(オショロジ)をぐわんと回わす岩燕 たけなか華那


「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2025年10月号(通巻1029号)>
灯台の痩身しぼる大南風 山尾玉藻
青蘆の丈のそよぎの中洲にゐ 大山文子
あをあをと並ぶ受け口夏魚 湯谷良
鴨足草紅さすことを忘れずに 坂口夫佐子
息吹き入れ封筒覗く大暑かな 山田美恵子
星座いま弓をつがふるハンモック 蘭定かず子
盆の市座りなほして渡す釣 するきいつこ


「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2025年10月号(通巻1150号)>
鉾囃子かすかイノダの奥なれば 森田純一郎
水中花都会の水に疲れけり 平田冬か
全身に白南風朱雀門に立つ 村手圭子
夜店の灯どれもみなちと傾ぎけり 大久保佐貴玖
独り居に馴れたとは嘘明易し 永野永久
月幾つ千早の棚田水を張る 植木啓次
誰が為に水羊羹の冷やしある 菅原好隆


「樺の芽」(主宰=粥川青猿)【1967年創刊・北海道帯広市】
<第54巻第11号(通巻588号)>
誰を射つ鉄砲百合の白い闇  粥川青猿
炎暑みな神の感性火焔土器  江波戸明  
計量の針のふるへや豊の秋  松尾一子
背伸びして見ても異国よ鰯雲 浜谷若菜             
草茂る道一本の果てはどこ  高橋民女
秋茄子漬紫紺の道へ釘を刺す 石森スエ子
銀河濃しそこは学徒の無言館 長谷川游子


「河」(主宰=角川春樹)【1958年創刊・東京都新宿区】
<2025年10月号(通巻803号)>
アマリリス17歳がありあまる   梅津早
風鈴をボーカロイドに教へけり   田中まぎぬ
おびただしき量の服薬火恋し    宮京子
炎昼や影まで赤き丸ポスト     藤森和子
雷は四つ足奈良が気に入った    愛知けん
難聴の空白蝉の生まれたる     石工冬青
満月や人消ゆるとき垂直に     あをい朝日


「麒麟」(主宰=西村麒麟)【2023年創刊・東京都江東区】
<2025年秋号(通巻11号)>
蟬時雨大吉山の鼾ほど 山上秋葵
涼しさや千秋楽もあやふからず 斉藤志歩
先生さやうなら又来年の猛暑日に 吉田からたち
百合の花どんな花瓶も気に入らず 髙田礁湖
父くれし一万円や鰻食へと 田中木江
糸蜻蛉眼が二つはみ出てゐ 辻村栗栖
千姫の絵筆の気まま夏夕べ 松永みよこ



銀漢(ぎんかん)」(主宰=伊藤伊那男(いなお)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2025年10月号(通巻178号)>
老いの身の力としたる心太 伊藤伊那男
灯をともし盆灯籠の向き正す  こしだまほ
残暑厳しく塩の泣く塩地蔵  高橋透水
国生みの神のきざはし虹掛かる  白井八十八
二人乗るゆゑに大きな茄子の馬  山室樹一
秋の蚊に若き血潮をくれてやる  森羽久衣
人波とふ喫水線や大船鉾  西田鏡子


「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2025年11月号(通巻326号)>
答出ず酢蛸の疣をしがんでも 中村堯子
真鍮の仏具磨かれ稲の花 大嶋康弘
黙禱の後は屈みて梅を干す 松居舞
日向水湯との一線画したる 三浦白童
忘れねば回つてゆかぬ走馬灯 坂本晶子
プール掃除デッキブラシのマイクなり さとう菓子
鈴虫をたんぱく源として居たり 對馬埜臬


「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<雲の峰2025年10月号(通算412号)>
秋夕焼異界の色を醸しつつ  朝妻  力
国境に霧笛の響く晩夏かな  角野 京子
翔平に始まる一日夏旺ん  今村 雅史
原爆忌おこり地蔵といふ地蔵  木原 圭子
上弦の舟かかりたり星今宵  松本 英乃
ひとり守る樺火しづけく灰となる  渡部 芋丸
仏前に足裏白き日焼の子  小林伊久子


「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2025年10月号(通巻307号)>
どの島も合歓花盛り隠岐に来たり 小澤實
ゲームコントローラーにドローン操る兵士汗 江藤鳥歩
鉄階段不協和音や夕立打つ 仲白良
サングラスしてロック座のかぶりつき 赤岩覺
王子のキスに目覚め吾は姫昼寝覚 牧原奈緒美
夏葱の細きうつろや刻みをり 遠藤ちひろ
認知機能検査過去問ネットに夏 戸田典々


「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2025年10月号(通巻181号)>
歌垣の地に色鳥のにぎはしく 藤田直子
八月の手が吊革にひとつづつ 黒澤麻生子
落蝉のもがきもがいて敗戦忌 田沢健二郎
特攻隊なぜ許せしか盆の月 朝田悦子
八月や固きタオルを取り込みて 古川恵子
秋さうびだんだん硬くなる思考 志村斗萌子
朝顔を絞つて恋をまだ知らず 藤井南帆


青山せいざん」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年10月号(通号515号)>
柿吊るし終へたる山の遠さかな しなだしん
しぐるるや皺美しき伎楽面 井越芳子
秣桶五六個重ね万緑裡 山本洋子
一面に胡桃転がる山羊の小屋 入部美樹
落鮎は木の葉のごとし渦の中 坂東文子
雷が怖くていまはいい子です ローバック恵子
Ⅾ51に急勾配や青胡桃 細野和子


蒼海そうかい」(主宰=堀本裕樹)【2018年創刊・東京都新宿区】
<29号>
メーデーを終えて酒席に上座あり 牛尾冬吾
はくれんの橋を戻りて来ることも つしまいくこ
老人の支へられたる絵踏かな 千野千佳
画用紙は希望の匂ひあたたかし 細川鮪目
猫の仔の一匹起きてみな起きる 森沢悠子
五階の人と四階の人ベランダに 中島潤也
順番に座るロッキンチェアうらら 臺貴志


「鷹」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2025年11月号>
銀皿に湯気立つライス菊日和  小川軽舟
遠花火明日にはバズる言葉吐く  夕雨音瑞華 
加害者の被害者面や作り滝  川原風人
銭湯の湯の澄んでゐる西日かな  山中望  
秋の蝶 麾(さしまね)くごと草から草  辻内京子
弁松の濃き味付や雨蛙  中山玄彦
小鳥来る寡婦となりたる朝の庭  日髙まりも


たちばな」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2025年11月号(通巻575号)>
やはらかな山のかをりや合歓は実に 久保田孝子
絶巓の風のゆくへや鷹ばしら 干野風来子
梅干して星のしづくを足しにけり 仁村俊子
さきたまに連なる墳墓田水沸く 髙嶋 静
渡船への道もとほれば秋立てり 峯岸隆子
老鶯や座禅豊かに山の寺 入 利雄
瑠璃鳥の飛び込む滝の滄さかな 中村昭二


「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2025年11月号(通巻333号)>
サイバー墓碑の妻と語らふ初盆会 佐々木建成
かまきりや投扇のごと翅ひろげ 山口美智
かなぶんぶん団欒の灯に八つ当り 米田由美子
包丁を離したがらぬ大南瓜 渡辺花穂
八月や老友の名に勇と勝 田中国太郎
八月の指折鶴を忘れざる 塚本一夫
アロハシャツ並ぶ税関検査場 大内民雄


「都市」(主宰=中西夕紀)【2008年創刊・東京都町田市】
<2025年10月号(通巻107号)>
昼寝覚めここに至りし記憶追ふ  中西夕紀
同僚は大方黄泉や浮いてこい   安藤風林
郭公や遺跡に仰ぐ津軽富士    三森 梢
向かうから同級生か青田道   井手あやし
新緑よビタミン色の服着たく   永井 詩
雨清々白また白の百合の花    高橋 芳
給水のリヤカー続く神輿かな  鈴木ちひろ



「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2025年11月号(通巻984号)>
初いちじく掌にたて三千歩 渡部むめ乃
夏風邪や鳥の交尾の始終見て 市原みお
夏終るすずかけの樹は空に在る 板倉ケンタ
野分来る父の眼鏡のうす汚れ 伊藤映雪
バス停のぐらぐらしたる秋の暮 ばんかおり
手花火の火の噴きてゐる重さかな 磐田 小
新涼や薄く切り出すハムに波 八田 吏


「鳰の子」(主宰=柴田多鶴子)【2011年創刊・大阪府高槻市】
<2025年10月・11月号(通巻74号)>
火を落とし流人舟めく鵜飼かな  柴田多鶴子
風青し仔牛の聲の柔らかし    政元京治
萎みゆく詩嚢卯の花腐しかな   山口登
脱サラの地ビールタンク摩耶の水 太田健嗣
葭簀風午後の静かな豆腐店    長野順子
気おくれの吾に一振りオーデコロン 村上みちこ
乱気流抜けて機長の声涼し    有村真由美


「noi」(代表=神野紗希・野口る理)【2025年創刊】
<2025年10月号(通巻6号)>
夜鷹上がり山は炎をなつかしむ   永山智郎
螢火の向かう絶滅収容所    福田春乃
できたよと呼びて素麺茹で始む   岡 雲平
貝割菜働くことを祈りとし   西村柚紀
遅刻した訳にもならず目高の死   万里の森
群衆のほとりの汗の苦酸つぱ   山月 恍
(発車ベル)駆け込み秋思はおやめください   田中まぎぬ


「濃美」(主宰=渡辺純枝)【2009年創刊・岐阜県岐阜市】
<2025年11月号(通巻200号)>
桃紅の墨の光陰秋のこゑ 関谷恭子
昭和百年愛せよ汗疹兄いもと 中原けんじ
日盛やをんなばかりの斜陽館 臼井英三
よき風来るよ夏帽子膝に置く 花村秀子
津波来と高みへと暑に喘ぎゆく 林 玲子
ようこそと島の夕虹たちにけり 村上ゆり子


「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2025年10月号(通巻128号)>
船渡御を明日に大漁旗を干す   千々和恵美子
錠剤の舌に貼り付く残暑かな  藤井さわこ
白色で終る追善花火かな  野村さち
卓布替へ熱き茶をくむ白露かな  小森圭以子
祈りては母近くなる墓参り  渡辺味蕾
折紙の山折り谷をり涼新た  宮﨑捷子
夏草や古城へ伸ぶるフットパス  矢羽田淑子


「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2025年11月号(通巻1547号)>
秋灯下築百年の気品かな 稲畑廣太郎
中庭の涙拭く子よ金魚草 酒井湧水
ただ願ふ母子の命大原志 奥村里
開国の海広がりて夏館 松村史基
洒落者やかんかん帽に白絣 西尾浩子
職人の印指先漆かき 野末トヨ
ホームランボール飲み込む雲の峰 金子奈緒美


「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年10月号>
夜食置き我がグローヴを嗅いで去る   今井 聖
上げられてプールサイドに運ばるる   竹内宗一郎
鰻裂く壁の皇室カレンダー       太田うさぎ
吸ふ息を吐いて花火となりにけり    黒岩徳将
本棚より突き出してゐる団扇の柄    西生ゆかり
証明写真の背景に似て夏の空      髙勢祥子
点滴の雫に銀河永遠に澄み       鷲巣正徳


「楽園」(主宰=堀田季何)【2021年創刊】
<第4巻第6号(通巻23号)>
多数決で春と決めるのも違う 土井探花
鳥交る首吊りの木のてつぺんに 山﨑垂
生牡蠣と吾の聞かれたる氏素性 鵜飼桜千子
玄関に狗あけましておめでたう 悠雲憂季
眉引き(マヨビキ)の国境線のドライブスルー 野武由佳璃
五臓六腑へ虚無への供物捧げたる 小田狂声
雪催故国は安くなりにけり 秋山葉切


「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2025年11月号>
もののたねもものものとはおもはれず 蛾だらけミナ
戦争と白桃煮くづれて酷暑 三国眞澄
失言を矢言(しげん)と違へ厄日なる 近藤由香子
風船かづらつきあぐねたる指の腹 西川良子
秋蟬や死者の書簡を始末する 小泉晃治
悪友のような頭痛と待つ月夜 土井探花
ピアス開けよか定期くづそか夜長 立田鯊夢


【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年11月20日
*対象は「コンゲツノハイク」2025年11月分(このページ)です。
◆配信予定=2025年11月25日ごろ
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/fgen/S51058765/

【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年11月30日
*対象は原則として2025年11月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください
◆配信予定=2025年12月5日ごろ
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/

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