【春の季語】蜷

【春の季語=三春(3月)】蜷

全国に生息する巻き貝。細長い。

生物学的には海に生息する「海蜷」と川に生息する「川蜷」に区別されるが、春の季語として一般に知られているのは、後者である。「蜷」は「川蜷」の古称であり、「海蜷」は別種。

蛍の幼虫が好んで食べることから、長野県では「蛍貝」とも呼ばれている。

春になると水田の底に「道」のようなものをつくりながら進むため、「蜷の道」という表現も俳句ではよく用いられる。


【蜷(上五)】
蜷遊ぶ水金色の春となり 細見綾子
蜷のみち淡くなりてより来し我ぞ 飯島晴子

【蜷(中七)】
砂川の蜷に静かな日ざしかな 村上鬼城

【蜷(下五)】
水底に欠茶碗あり蜷の道 小川軽舟
よく見ればすこし下りの蜷の道  岡田由季


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