【夏の季語】白玉

【夏の季語=三夏(5〜7月)】白玉

白玉は、白玉粉で作った団子のこと。

江戸は水質が悪い土地柄だったこともあり、17世紀より夏になると「冷や水売り」と呼ばれる行商人が、冷たい水を売り歩いていたが、この冷や水には、「白玉」が入れられることがあった(ほかに、道明寺こごめや葛を入れたりもした)。砂糖が流通するようになると、砂糖を入れた「砂糖水屋」も登場した。

現在でも、飲み口のひんやりとする錫製のグラスで冷酒を呑むことがあるが、錫製の茶碗での冷や水は、白玉をたっぷりと入れた「江戸のスイーツ」として庶民に愛された。


【白玉(上五)】
白玉のよろこび通る喉の奥 水原秋櫻子
白玉やひととせぶりの喜劇見て 水原秋櫻子
白玉やくるといふ母つひに来ず 星野麥丘人
白玉や浮舟の巻読み終へて 松本 旭
白玉のあとは銀座の帽子店 山田弘子
白玉に齢を忘れて匙伸ばす 大牧広
白玉のひかりゆつくりいそぎたし 黒田杏子
白玉や子煩悩にはなりきれず 西村和子
白玉や一日富士を目の前に 石嶌岳
白玉のひかりまぶしき齢かな 横澤放川
白玉や虚子に似る字も偽手紙 筑紫磐井
白玉にゑくぼをつけてゐるところ 小林苑を
白玉やはやくも濁る喪の心 野中亮介
白玉の隣の白と違ふ白 山口昭男
白玉や神田をとほる神田川 小川軽舟
白玉を姉はひたすら茄でる役 櫂未知子
白玉の美形を探しゐたりけり 仙田洋子
白玉や扁たきものに杉の幹 小林貴子
白玉にやさしきくぼみあれば喰む 杉山久子
白玉をぽんぽん茹でて母恋し 辰巳奈優美
白玉や佳き事ひとつづつ数へ 寺澤佐和子
白玉を水に放つや心揺れ     石井薔子
白玉や川は光に選ばれて 神野紗希
白玉やバンド解散しても会ふ 黒岩徳将

【白玉(中七)】
姉妹白玉つくるほどになりぬ 渡辺水巴
子にそなふ白玉喰べ酒たうべ 角川源義
子の話聞く白玉をまるめつつ 甲斐のぞみ

【白玉(下五)】
蒲田らしるるぷるぷるる白玉か 井口吾郎

【ほかの季語と】
白玉や雨の中なる夏景色 岩田由美



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