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白玉やバンド解散しても会ふ 黒岩徳将【季語=白玉(夏)】


白玉やバンド解散しても会ふ

黒岩徳将

行動制限が徐々に拡大。直後はまだ慎重だったが最近では「そろそろ久々に…」と集う機会が増えてきた。いや、激増した。

個人的にもつい先日同窓会に参加した。きっかけは私たちの結婚を祝ってくれるというもので、自分たちが披露宴をしなかったばかりに楽をさせてもらった上に同窓会まで開催されて何という果報者と思った次第。

同窓会は当時の記憶を確認しあいつつ現状を報告し合うだけで会話が成立する。興味の対象も見当がついているという意味で義務が少ない。

他の会では、初回はそれで良くても継続していくとなると報告だけでは難しい。その初回も、信頼関係が出来上がるまでは興味を持ってくれそうな話題を互いに探り続けなければならず、余程意気投合しない限りエネルギーを要する。まぁ、この年齢になるとそんな会はあまりないのだけど。

句会なら初対面でも同窓会レベルの会話がすぐ出来る。

白玉やバンド解散しても会ふ

バンドは組んだことがないのだが、劇団なら作ったことがある。相違点はあるだろうが、真実は近いはず。

共に何かを作り上げた経験のある仲間は特別だ。クリエイティブを伴うものは殊に。ぶつかりあうこともあっただろう。泣いたとしても不思議はない。

解散の理由は卒業といったところか。深刻な理由でないこと、またメンバーがある程度若いことは再会していることに加え「白玉」が語っている。

季語が熱燗では人生の厚みが出てしまう。ソーダ水なら希望がありすぎる。あんみつでは本当に解散したかどうかすら怪しい。

卒業してからも年に1回ほど会う4、5人。気心が知れているのでアルコールの助けも必要がない。懐かしい街並みを散歩していたら小腹が空いた。飲むにはまだ早い…と思ったらちょうど良いところに甘味屋が。当時は見向きもしなかったし、知ってても恥ずかしくて入れなかったけど、今なら美味しくいただけそうだ。わずかの間にもメンバーに少しずつ変化が生じているのだ。

同窓会で面白いのは見た目や話題が変わっても関係性はあまり変わらないということ。先日も社会的に大きく成功している人がいたがその場ではあまり関係なかった。そうもいかないケースもあるのかもしれないが、社会的地位で関係性が変わるような人達の会にはあまり参加したくない。

『渦』(2024年刊)所収。

吉田林檎


【執筆者プロフィール】
吉田林檎(よしだ・りんご)
昭和46年(1971)東京生まれ。平成20年(2008)に西村和子指導の「パラソル句会」に参加して俳句をはじめる。平成22年(2010)「知音」入会。平成25年(2013)「知音」同人、平成27年(2015)第3回星野立子賞新人賞受賞、平成28年(2016)第5回青炎賞(「知音」新人賞)を受賞。俳人協会会員。句集に『スカラ座』(ふらんす堂、2019年)


【吉田林檎さんの句集『スカラ座』(ふらんす堂、2019年)はこちら ↓】



【吉田林檎のバックナンバー】
>>〔106〕樹も草もしづかにて梅雨はじまりぬ 日野草城
>>〔105〕鳥不意に人語を発す更衣 有馬朗人
>>〔104〕身支度は誰より早く旅涼し 阪西敦子
>>〔103〕しろがねの盆の無限に夏館 小山玄紀
>>〔102〕泉に手浸し言葉の湧くを待つ 大串章
>>〔101〕メロン食ふたちまち湖を作りつつ 鈴木総史
>>〔100〕再縁といへど目出度し桜鯛 麻葉
>>〔99〕土のこと水のこと聞き苗を買ふ 渡部有紀子
>>〔98〕大空へ解き放たれし燕かな 前北かおる
>>〔97〕花散るや金輪際のそこひまで 池田瑠那
>>〔96〕さくら仰ぎて雨男雨女 山上樹実雄
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>>〔77〕命より一日大事冬日和 正木ゆう子
>>〔76〕冬の水突つつく指を映しけり 千葉皓史
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>>〔74〕蓑虫の蓑脱いでゐる日曜日 涼野海音
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>>〔72〕啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々 水原秋櫻子
>>〔71〕天高し鞄に辞書のかたくある 越智友亮
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>>〔63〕はるかよりはるかへ蜩のひびく 夏井いつき
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>>〔53〕雷をおそれぬ者はおろかなり    良寛
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>>〔51〕紫陽花剪るなほ美しきものあらば剪る 津田清子
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>>〔49〕しばらくは箒目に蟻したがへり  本宮哲郎
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>>〔21〕ヨコハマへリバプールから渡り鳥 上野犀行
>>〔20〕遅れ着く小さな駅や天の川    髙田正子
>>〔19〕秋淋し人の声音のサキソホン    杉本零
>>〔18〕颱風の去つて玄界灘の月   中村吉右衛門
>>〔17〕秋灯の街忘るまじ忘るらむ    髙柳克弘
>>〔16〕寝そべつてゐる分高し秋の空   若杉朋哉
>>〔15〕一燈を消し名月に対しけり      林翔
>>〔14〕向いてゐる方へは飛べぬばつたかな 抜井諒一
>>〔13〕膝枕ちと汗ばみし残暑かな     桂米朝
>>〔12〕山頂に流星触れたのだろうか  清家由香里
>>〔11〕秋草のはかなかるべき名を知らず 相生垣瓜人

>>〔10〕卓に組む十指もの言ふ夜の秋   岡本眸
>>〔9〕なく声の大いなるかな汗疹の児  高濱虚子
>>〔8〕瑠璃蜥蜴紫電一閃盧舎那仏    堀本裕樹
>>〔7〕してみむとてするなり我も日傘さす 種谷良二
>>〔6〕香水の一滴づつにかくも減る  山口波津女
>>〔5〕もち古りし夫婦の箸や冷奴  久保田万太郎
>>〔4〕胎動に覚め金色の冬林檎     神野紗希
>>〔3〕呼吸するごとく雪降るヘルシンキ 細谷喨々
>>〔2〕嚔して酒のあらかたこぼれたる  岸本葉子
>>〔1〕水底に届かぬ雪の白さかな    蜂谷一人


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